「悪」は人間の心の一体どこに眠っているのか 「スター・ウォーズ」が見つめる"善と悪"
人間は善人か? 悪人か?
沼や森に覆われた惑星・ダゴバでルークが修行中にヨーダは、彼をダークサイドの洞窟に連れてゆき試練を与える。細部はともかく、ちょっと思い出してみてほしい。ヨーダがルークを大木の根元に連れてくる。大木の根がからみあう中に、洞窟の入り口がある。
「そこはフォースのダークサイドが強いのじゃ。悪の領域じゃ。行くがよい」
後はもうご存じだろう。ルークはライトセーバーをもって恐々と洞窟を進み、ダース・ベイダーと対峙する。
ルークがそこで出会ったのは「悪」だったのだろうか。いや違う。ルークが悪の化身の首を切り落とすと、ヘルメットが落ちる。そして壊れたマスクの向こうに現れたのは、ルーク自身の顔だった。
つまり洞窟は、彼の心の内だったのである。彼が向き合うべき相手は自身の暗黒面であった。確かにヨーダはあらかじめ警告していた。そこにお前が見るのは、「自分自身だけ」だろうと。
結局、ルークはこのテストに失敗した。まずライトセーバーを持っていくことで、恐怖心を連れていってしまったのが失敗であり、憎悪に任せて相手を殺そうとしたことも失敗であった。武器も恐怖も捨て、試練に挑むべきであったのだ。
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