世界中どこでも「同じユニクロ」を目指す

柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長に聞く

「生活のインフラ」になりたいと語る柳井会長
カジュアルウエアの小売店「ユニクロ」1号店を広島市に出店してから25年。「生活のインフラ」を掲げ、独自の経営哲学を駆使して、7000億円企業にまで育て上げた男は今年、還暦を迎えた。しかし、飽くなき成長ストーリーは健在。2020年には売上高5兆円を目指すと喝破する。消費不況の中で快進撃を続けるファーストリテイリング(FR)の柳井正会長兼社長に、ユニクロ主義の神髄を聞いた。

「成功は失敗のもと」

――最近のユニクロをはじめFRは、著書名の『一勝九敗』ではなく、九勝一敗では……。それなのに、成功体験を執拗なまでに打ち消そうとされるのは、なぜですか。

失敗がみんなに見えていないからですよ。われわれはいろんなことで失敗している。たとえば、発熱保温肌着ヒートテックの素材は何百回もやり直した。グローバル事業もようやく黒字になってきた。それまで何百億円とつぎ込んできましたからね。

成功体験にしても、たとえ一つの事業が成功しても、それが次の成功を保証することはない。ファッション業界は浮き沈みが激しい。ハイテク産業に似て早い者勝ちだし、いい時期は意外に短い。そのことに気をつけないといけない。

また、少し商才が利いた若い人は、ちょっと成功すると、大成功したかのように勘違いしてしまう。本人の能力ではなく偶然なのに、成功したということを肯定して、何か大経営者にでもなったかのような錯覚に陥る人が結構いるんですよ。成功体験を基に同じことを続けていると、絶対、“成功の復讐”に出合う。

だから、お客様が評価された点の本質をよく考えることが必要。でも、それ以外のことも成功要因ではないかと考えてしまいがち。「成功は失敗のもと」となる危険があります。

――FRの目指す企業像とは、同業他社と比べて経営理念などでどこに違いがあるのですか。

われわれはファッションや服を介して、「生活のインフラ」になりたいんですよ。

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