SBIの「宣言」で曲がり角を迎えたネット証券

手数料の無料化でこれからどう生き残るのか

ネット証券の誕生から約20年。業界トップを走るのはSBI証券だ。東京証券取引所の個人売買代金のうち、3割以上を占めるSBI証券は、対面証券を含めても売買代金で最大。口座数もネット証券最多で「あと半年で野村を追い抜く」(北尾氏)。

収益に占める委託手数料の比率は25%(2018年度)。ホールセール(法人)部門の強化や他業種のM&A(合併・買収)を通じてこれを5%まで下げ、完全無料化に踏み切る構えだ。

ホールセールについて、SBI証券の髙村正人社長は「IPO(新規株式公開)の主幹事など株式・債券の引き受け業務が、伸びしろもあり大きな収益源になる」と話す。同業務では後発だが、「後発の優位を生かし、効率的にキャッチアップしている」と手応えを示す。

大手証券は、一度主幹事を獲得した企業に対して、次回も主幹事に指名してもらえるよう関係維持のために人手や費用をかけている。後発であるSBIにはそうしたコストが少ない。

提携による新規参入を封じ込める

M&Aについては買収先候補として、FX(外国為替証拠金取引)事業者、暗号資産事業者、M&A専門業者の3業種を検討している。SBIはネット証券同士のM&Aにも「話があれば」(髙村氏)と積極的。なぜなら、手数料ゼロを推し進める狙いの1つが業界再編だからだ。

SBIホールディングスの北尾氏は1月末の決算説明会で「(手数料無料化の)意図は2つ。LINEが野村と組んで入ってきた。提携による新規参入を封じ込めなくてはいけない。入ってくることに魅力がない(ビジネスだ)と思わせないといけない。それから業界再編(もある)」と明かした。

記者が業界再編について質問すると、北尾氏は「可能性は否定しない。どっかSBIにとって買ったほうがいいと思うところはありますか」と逆質問。「松井証券はどうですか」と返すと、「それだけは絶対にない」と答え、選ぶ側だからこその余裕を見せた。

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