「新NISA」はいまのNISAとどこがどう違うのか 「お金がある人」も「あまりない人」にもお得だ

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新しいNISAの制度が金融庁から発表された。従来のNISAとの関係は?新しい制度は何がどう違うのだろうか?(写真:SB/iStock)

新しいNISA制度が発表された。通称は「新NISA」らしい。

「新NISA」は「NISA」よりもさらに複雑?

「NISA(ニーサ)」とは少額投資非課税制度の愛称だ。個人型確定拠出年金の愛称である「iDeCo(イデコ)」よりも可愛いネーミングだと個人的には思っているのだが、2014年に開始された元々のNISA「一般NISA」(現在年間投資上限額120万円、税制優遇期間5年)、2018年に始まった「つみたてNISA」(年間投資枠40万円、積み立て投資が前提、税優遇期間期間は20年)、さらに「ジュニアNISA」(面倒な制度なので概要省略)と呼ばれる制度もあって、なかなかに複雑である。

これらのうち、2023年に投資出来る期限が切れる一般NISAが今後どうなるのかについては、投資家からも、金融業界からも、大きな関心が寄せられていた。

少し前には、制度が一本化されるのではないかとの憶測もあった。証券業界としては、システム投資もしたのに、一般NISAが延長されないとは、とんでもない、という声があったが、他方でNISA制度は何とも複雑なので、それも仕方がないかとの見方もあった。

 筆者個人は、どちらかというと後者側、即ちつみたてNISAへの制度一本化と利用可能金額の増枠を予想していたので、つまりは予想を外した訳だが、一般NISAを継承する「新NISA」が出来るのは結構なことだ。

ところが、発表された新NISAは、ただでさえ複雑な既存の制度を、さらに複雑にして、一般NISAを引き継ぐものであるようにも見える。「何だこれは?!」と言いたい向きもあるだろうし、複雑さを批判するのは簡単だ。

しかし、新NISAについて金融庁の担当者から話を聞きながら、あらためて考えると、新制度の背景には3つくらいの基本的な思想があり、この思想を理解すると、制度が理解出来るし、投資家がNISA制度とどう付き合っていくといいかが分かると思う。本稿では、新NISAについて、筆者が出来る範囲でご紹介し、個人がどうしたらいいのかを考えてみたい。

次ページ大事な話なので、新NISAの概要をしっかり説明しよう
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