「新NISA」はいまのNISAとどこがどう違うのか 「お金がある人」も「あまりない人」にもお得だ

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では、制度をつみたてNISAに、いきなり一本化していいのかというと、主に現在の一般NISA口座で個別株式を持っているような投資家への配慮が欠ける点に問題があった。個々に銘柄を研究して個別株に投資するような投資家は、経済の成長資金の直接的供給者であるのと同時に、多様な見方と情報を市場にもたらす重要な参加者でもある。また、現実問題として、一般NISA制度をいきなり終了させた場合に、NISA口座で保有されている銘柄(一定の傾向性がある)がまとめて売却されるような、需給上の問題も気にしたかも知れない。

個別株で投資している投資家は、概して投資信託が好きではないし(過去の思い出が悪いのだろう)、NISA口座を自分の運用全体の中の一部として位置づけているだろうから、1階部分の積み立て投資を敢えて要求しなかったということなのだろう。「1階の積み立て投資が2階利用の条件だ」と言うと、「それは面倒だから、NISAなんて止めにしようか」という投資家が出かねない。

加えて、レバレッジ投信や通貨選択型投信を使った投信営業には、意に反して一般NISA口座がそれに利用されたことも含めて、金融庁サイドは相当に苦々しく思っているのではないだろうか。「純粋なヘッジ目的以外のデリバティブ利用の商品を排除する」という括り方を見つけたようだが、通貨選択型投信を新NISAの対象から除外しようとする執念深さは、ある意味で素晴らしい。

もともと現在の金融庁職員の先輩達が、質の良くない商品を認めてしまったことに問題があったように思うが、今回の決定はナイスだ。

個人投資家はどうしたらいいのか?

さて、読者が新NISAの制度とその思想を理解したとしよう。では、どうしたらいいのだろうか。言うまでもないことだが、新NISAは2024年から始まる制度であり、2023年までは現在の一般NISAは続くし、もちろん、つみたてNISAはその間もずっと継続して存在する制度だ。2020年から、いきなり新NISAが始まるわけではない(そのような誤解をしている人もいるらしいが)。

現在の一般NISAの保有銘柄が、将来の新NISAの投資対象にならない場合に、そのまま保有ポジションを移管出来るのか、といった辺りの条件が(無理な場合を考えておく必要はあるだろう)、現時点の筆者にはよく分からないので、さまざまな条件を持った投資家全てにとってベストな投資の扱い方をご説明することは困難だ。

最大公約数的に多くの投資家に当てはまるNISA制度との付き合い方の大方針を一言でまとめよう。

「つみたてNISAで行うような投資を、もっと効率的に、自分に適切なリスク額で行え」。つまりは、こういうことだ。

現在、ある程度まとまった運用資金を持っている人は、一般NISAで期初に上限を120万円として、投資したい金額を前倒しで、つみたてNISAで選ぶような銘柄に一括投資して5年間バイアンドホールド(売却せずに持ち切り)するといい。5年後には、新NISAに移管して運用を続けるといい。積み立て投資だと、どうしても投資したいと思う金額に投資額が達するまでに時間が掛かってしまうが、この点には若干の非効率性が存在する場合が多い。

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