「新NISA」はいまのNISAとどこがどう違うのか 「お金がある人」も「あまりない人」にもお得だ

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説明を試みて、あらためて複雑だと思うが、分かって頂けただろうか?

「新NISA」の3つの基本思想は間違っていない

以下、金融庁が新制度に込めたと思われる意図を、筆者なりに3つの基本思想にまとめてみた。

金融庁としては、
(ア) つみたてNISAで想定するような投資を普及させたいが、
(イ) 個別株式の投資家に対して一定の配慮の必要を感じており、
(ウ) 現行の一般NISA等で行われている通貨選択型の毎月分配型ファンド
(最近は公的年金の支給が無い奇数月に分配するタイプもある)で手数料稼ぎを行うような投信営業について苦々しく思っている、
ということではないだろうか。

上記のように考えると、新NISAを中心とするあれこれを、一貫して理解出来るように思う。

ちなみに、3つの項目何れについても、筆者は賛成だ。

まず、つみたてNISAで推奨するような投資、つまり、(1)分散投資されたリスク資産(主に株式)の、(2)低コスト(手数料の低い)商品に、(3)長期間バイアンドホールドで投資するような投資が好ましく、これを計画的貯蓄と共存しつつ精神的に楽に実行する手段として(4)積み立て投資が有効だ。

2018年に登場したつみたてNISAは、金融庁自らが対象商品を少数に絞り込む異例の制度設計の可否が議論を呼んだが、(A)低コストな商品への投資実績がいいこと、(B)一般NISA口座対象を含む一般の投信営業があまりにも顧客本位でないこと、(C)つみたてNISA口座の解約が資産残高のごく僅かにとどまること、などから、金融庁は「つみたてNISA的投資」に対する自信を深めたのだろうと推察する。

1階部分での積み立て投資実行を原則とする新NISAを利用すると、低コストな積み立て投資の長期運用がいいことを、2階部分の運用と比較して、多くの投資家が気付くのではないか、という金融庁の期待感が見えるような気がする。「投資教育機能付きNISA」と呼べるかも知れない。

1階部分の投資を税制優遇期間(5年)終了後に、つみたてNISAに丸ごと移管できるようにする、という制度設計にも、「つみたてNISA的な投資をやって欲しい」という意図が窺える。

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