「新型コロナ」は「バブル大崩壊」の「序曲」なのか NYダウ603ドル下落でも漂う「危うい安心感」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アメリカで30年相場を見てきた筆者の持論では、危機管理と緊急事態での判断は誰にでもできるものではなく、特殊な才能を持った人にしかできないと思う。主観では、安保体制の中、戦後の70年間、どっぷりと平時に染まった日本の政治力では、そのようなスペシャルな対応が可能か疑問である。ならばこういう時こそ、当時の日産にならい、プライドを捨ててでも必要なら外部の専門家を雇うべきだろう。

トランプ大統領が「911」で勲章を授与したある人物

そこで、ある逸話を紹介したい。昨年9月、ドナルド・トランプ大統領は、英国出身の軍人である故Rick Rescorla(リック・レスコーラ)氏に、亡くなってから18年経って個人としては最高勲章の「メダルオブオナー」を与えた。同氏はベトナム戦争に数百人の部下を持つ部隊長として従軍。2000人以上の敵兵に囲まれながら、部隊を鼓舞し、援軍がくるまで持ちこたえた戦場の英雄である。

数々の勲章を得た同氏は、退役後、民間のセキュリティ会社に移り、1990年代には、アメリカの大手金融機関のモルガン・スタンレー社でWTC(世界貿易センタービル)にある本社のセキュリティ総責任者になった。そして1993年の最初のWTCテロが起こる直前、ビルの構造上、爆弾を使ったテロが駐車場で起こる可能性が高いと判断、それに沿った避難訓練を徹底した。

そして氏の想定通りのテロが起こり、最小限の被害で抑えたことで評価を高めた同氏は、返す刀で「次は飛行機による空からの攻撃になる。だから本社を移転すべき」と、本社幹部に進言した。だが本社はリース契約が2006年まで残っているとの理由で移転を拒んだ。

そして運命の2001年9月11日。WTCのサウスタワー44階で衝撃音を聞いた同氏は、ノースタワーの火災が飛行機によるテロだと確信。状況把握に手間取った当局が(NY湾岸管理局)、サウスタワーの人は塔内に留まるように命令を出す中、レスコーラ氏は行政からの命令を無視。社員2700人を非常階段から速やかに退避させた。そしてまだ管内に残された社員がいるとの一報を受け、2機目が追突し炎上が始まっていたサウスタワーに向かった。途中、妻に電話をかけ、もし自分が戻らない場合、君に感謝していたことを忘れないでほしいと言い残した。

次ページなぜ18年もたっての勲章だったのか?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事