「新型コロナ」は「バブル大崩壊」の「序曲」なのか

NYダウ603ドル下落でも漂う「危うい安心感」

筆者もテロの1年前まではWTCの隣のビルに通っており、3人の知人をテロで亡くしたので、レスコーラ氏の話は知っていた。今思えばなぜ2019年まで同氏に勲章が与えられなかった不可解だが、想像では、消防士など殉職ヒーローは他にも大勢いる。またトランプ政権より規律を重視したオバマ政権では、当局の命令に逆らったレスコーラ氏は、たとえヒーローでも、最高の勲章を与えるのは難しかったのかもしれない。

NYダウ603ドル安でも残る「漠然とした安心感」

同氏に勲章を与えたトランプ大統領には個人的に素直に男気を感じる。そしてここで言いたいことは、非常時では、最後のリスク管理は自分で判断するしかないということ。それは相場も同じだ。相場が崩壊したあとで、アナリストに文句を言っても遅いが、政府の対応にも限界あり、自分が死ぬ段になって政府を恨んでも遅い。

その延長で今のアメリカ市場を見ると、1月31日のNYダウの603ドル安をみても新型コロナウイルスにそれなりに反応している。だがまだ本気で心配しているようには思えない。おそらく2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)などの過去のパターンからの経験値、そしてFOMC(米公開市場委員会)でも確認されたように、「何があっても中央銀行が助けてくれる」という漠然とした安心感があるからだろう。

そこで簡単に直近のアウトブレイクを振り返ってみると、2003年のSARSでは株は最初のアウトブレイク後7%程度調整したものの、6カ月後には年初から15%の上昇になった。次に鳥インフルエンザが流行した2006年は、そもそも米株への影響は軽微で、年間の上昇率は12%だった。そしてエボラ出血熱が再発した2014年は欧州危機がくすぶる中、年間では5%の上昇だった。

ならば新型コロナウイルスだけでは、多少の調整になっても強気姿勢は変わらないだろう。だがここでリスク管理の観点で疑問なのは、金融市場が今回のコロナウイルスを比較する場合、サンプルがこの20年のSARSや鳥インフルエンザでいいのかという点だ。自分たちが知っているこの20年程度の経験ではなく、歴史を振り返れば、これらは専門家が言う「世界の3大パンデミック」には数えられていない軽微なものだった。 

アメリカのウイルス学者で生物兵器の第一人者とされるスティーブン・ハットフィル博士によれば、世界の3大パンデミックとは①6世紀に東ローマ帝国を襲った「ユスティニアヌスのペスト」 ②14世紀の「黒死病」、そして③20世紀になっての「スペイン風邪」とのことである。スペイン風邪がスペインにとって気の毒なのは、発祥の地はアメリカなのに、なぜがスペインの名前がついていることだが、唯一、記録のあるスペイン風邪の頃の株を見ると、アメリカの株式は1918年から1919年にかけて28%も下落している。

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