「新型コロナ」は「バブル大崩壊」の「序曲」なのか

NYダウ603ドル下落でも漂う「危うい安心感」

過去と比べ、今のFFレート(1.50-1.75%)は、飛び込み台としてはあまりにも低い。これは、この10年の回復が株価だけで、実体経済にはブームがなかったことを示す。ブームがないならバストもない。これがダボス会議で、以前このコラムで紹介したレイ・ダリオ氏が漏らした感想である。ただし彼の言う「バストがない」というのは決して良い意味はない。彼の示唆は、「ブーム&バストを活力としてきた資本主義はもう終わった」ということだ。

「秩序ある財政拡大」ができるのか

具体的には、バブル崩壊を怖がり、その延命だけを考え、QEやマイナス金利を導入した国では、経済の根幹であるはずの銀行株は上がらなくなった。この30年日本の銀行株はピーク時の3割で程度推移している。個人的には銀行株が225銘柄に入っている限り、日本株指数が欧米並みに戻るのは不可能だとみる。そして今、ドイツ銀行などを抱える欧州も日本化のパターンに入りつつある。そんな中、ダボス会議で、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO(最高経営責任者)が「唯一の懸念はマイナス金利」と断言したのは至極当然だった。

一方、長期債のQE(量的緩和)に特化したとしても、いずれ長短金利が再び逆転するのは必定だ。ならばMMT(現代金融理論)でもUBI(ユニバーサルベイシックインカム)でもなんでもいい。債券の暴落を招かないように緩やかに財政を拡大して、健全な長短金利差を維持する必要がある。ここ数年、中央銀行のトップ人事がサプライサイド経済を支えた「金融PHDスタンダード」から、「弁護士スタンダード」へ変わったのは、中央銀行が独立性を重視するスタンスから、自ら財政との協調を模索する方向に動き出したからだろう。

ただし、もしサンダース候補のような生粋の社会主義者が政権をとると、話は複雑だ。彼ら主導でMMTが断行されると、溜まりにたまった債券バブルのダムが一気に崩壊する可能性が極めて高い。だから中央銀行は、彼らのような社会主義者によるMMTは、どんな手段を使っても阻止するだろう。

それは、中央銀行が電子マネーを促進しながら、そもそも政府の後ろ盾がない無秩序的なクリプトカレンシー(暗号通貨)が一線を超えてバブルになること、あるいは、中央銀行が限界を超えた場合の最後の砦、IMF(国際通貨基金)が準備しているデジタル通貨バスケットを、民間のFACEBOOKが先にやることは絶対に許さない、秩序維持のための政治圧力と同じである。

最後に、最初に紹介したレスコーナ氏でさえも不可能だったことを触れておきたい。それは火災になったツインタワーが、あのような崩れ方をすることへの予見だ。

個人的には、先進国の借金増加のペースが成長のペースを上回る時代、それを無視し、中央銀行バブルに酔いしれた今の相場が崩壊するときは、何らかの理由で予期せぬインフレが起き、積み上げられた塔が一気に崩れるイメージを持っている。そのイメージは、今も目に焼き付いているWTCの崩壊だ。そしてそれは、旧約聖書の創世記にあるノアの大洪水(リーマンショック)から、バベル塔の崩壊(次のバブルの崩壊)の過程がイメージされる。

次回は、ちょうど300年前の1720年に起きた最初の中央銀行バブルであるミシシッピバブル(フランス)と、それに続いて起きた南海泡沫(英国)、最も直近の中央銀行バブル崩壊である「1929年大暴落」へのプロセスを検証してみたい。

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