トランプがイラン攻撃後に企む「秘策」とは何か 「イラン要人殺害」は強気の選択だった可能性
年明け、堰を切ったように動き始めた国際情勢。イラン問題は後で触れるとして、年末年始の出来事を順に整理することから始めたい。
突如過激な行動に出たトランプ大統領の背景にあるもの
まず昨年のクリスマス直後、中国の習近平国家主席との会談を終え、帰国したヘンリー・キッシンジャー氏が、「中国はドナルド・トランプ大統領との交渉継続を望んでいる。よってトランプ氏の再選を歓迎するだろう」との声明を発表した。呼応するように中国当局も、民主党候補ではなく、トランプ氏再選を希望するとのコメントを出した。ところが同12月27日以降、中国は史上初めてオマーン沖でイランやロシアとの海軍の合同演習を慣行、アメリカに対する戦略を鮮明にした。そして年明け早々、イラン情勢はご承知の通りの展開になった。
アメリカとイランとの戦争の可能性は、過去、この東洋経済オンラインでも何度か指摘してきた(代表的なコラムは「トランプ『対イラン戦争決断のXデー』は来るか」や「トランプ大統領の敵は中国でもイランでもない」)が、今回一番驚いたのは、引き金を引いたのがトランプ大統領本人だったことだ。イスラエルの有力紙ハアレツ(HAARETZ)は、ガセム・ソレイマ二氏の殺害直後、クリスマス前後でのフロリダでの休暇中のトランプ大統領と政権内の動きをすっぱ抜いた。
記事によると、イラン過激派によるイラクの米軍基地攻撃への対応として、トランプ政権の安全保障関係のメンバーがトランプ大統領に提示した選択肢は複数あったという。そこでトランプ大統領は、過去の大統領が選ばなかった「最も過激な選択肢」を自分で選んだ。その選択は、それまでの戦争嫌いのトランプ大統領とは明らかに異なり、タカ派とされるマーク・エスパー国防長官自身も驚いたという。
では、なぜトランプ大統領はそのような行動に出たのか。
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