「推論力」がある人とない人の決定的な違い 5G時代に身に付けておきたい「洞察的帰納法」

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もしあなたがロジカルシンキングを学んだことがあるなら「帰納法」という論理展開のパターンを耳にしたことがあるはずです。ご存じない方のために説明すると、帰納法とは「観察を通して得られた複数の事実から共通点を発見し、結論に結び付ける方法」です。

例えば、以下が帰納法の例です。

事実①:広告代理店A社の上田さんは、真面目な性格だ。
事実②:広告代理店A社の金谷さんは、真面目な性格だ。
事実③:広告代理店A社の石田さんは、真面目な性格だ。
●共通点の発見:広告代理店 A 社の人に共通するのは、真面目な性格であることだ。
●結論:よって、広告代理店A社は、真面目な社風だ。

しかし、この推論プロセスを注意深く見ると「観察を通して得られた複数の事実」の中に、すでに「共通点とは何か?」の答えとして「真面目な性格だ」が含まれていることに気づけるはずです。

このように「帰納法」は、観察によって得られた複数の事実の中に、すでに「共通点」が含まれています。よって「論理的に妥当か?」という意味では有益なのですが「見えない物事を洞察する」「新たな可能性を見出す」という点においては力不足なのです。

「洞察的帰納法」とは?

そこで、ぜひおすすめしたいのが、筆者が命名した「洞察的帰納法」という考え方です。通常の帰納法が「観察を通して得られた複数の事実から直接的に共通性を発見する方法」だとしたら、洞察的帰納法は「 “洞察を通して”共通性を発見する方法」と言えます。

こちらも、例を使って説明していきましょう。

事実①:水は「飲めるもの」である
事実②:水は「洗えるもの」である。
事実③:水は「火を消せるもの」である

これらを見るとおわかりのとおり、一見、この3つの事実の中に直接的な共通点はないように思えます。しかし「洞察力」を巡らせると、3つの共通点は以下のようになります。

●共通点の発見:この3つの共通点は、モノ(=水)を抽象化して「コト」として捉え直したことである

すると「結論」は以下のように導くことが可能です。

 ●結論:「モノ」から「コト」を抜き出すと、その実体が持つ複数の「価値」を発見できる
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