「推論力」がある人とない人の決定的な違い 5G時代に身に付けておきたい「洞察的帰納法」
このように、一見しただけでは何の共通点もないように思えるものでも、思考停止をせずに洞察力を働かせることができれば、洞察的帰納法から得られた「共通点」を自分なりの法則に変えることができます。そして、その「法則」を自分の引き出しにしまっておくことで、「自分ならではの武器」に変えていくことができるのです。
洞察力とは、目に見える事実を手がかりにしながらも、その奥底にある「目に見えないもの」を見抜く力を指します。そして「目に見えないもの」とは「概念」や「関係」あるいは「原理」「本質」などと考えておけばいいでしょう。
これらの「目に見えないもの」は、目に見えないだけに、なかなか気づきにくいのが難点です。しかし「気づきにくい」ことはほかの人も同様なので、もしあなたが「目に見えないもの」の共通点を発見し「法則化」できれば、ほかの人の一歩先を行く競争力になりやすいのです。
洞察的帰納法の頭の使い方
それでは、どのような「頭の使い方」をすれば洞察的帰納法をマスターすることができるのでしょうか? そのカギは「抽象化」と「多面的な視点」の合わせ技にあります。
「抽象化」とは「形のある実体」を手がかりにしながらも、それにとらわれることなく「形のない概念」に抜き出していくことを指します。例えば先ほどの例でいえば「水→飲めるもの」が抽象化です。
そして「多面的な視点」とは、抽象化で得た「概念」をさまざまな視点で捉え直すことを指します。こちらも先ほどの例でいえば「水=飲めるもの、洗えるもの、火を消すもの」が挙げられるでしょう。
より深く理解するために、別の例を使って解説しましょう。
事実②:「特許」は、用途が広ければ広いほど資産価値が増える
事実③:「リーダーシップ」は、使えば使うほどスキルが磨かれていく
「ノウハウ」「特許」「リーダーシップ」はまったくの別物であり、一見、共通点がないように思えます。しかしこれらを、それぞれの意味にとらわれることなく「概念」を抜き出す頭の使い方をしてみましょう。すると、さまざまな推論を巡らせるうちに、あなたは「この3つは、どれも企業にとっての資産である」ということに気がつけるはずです。
「ノウハウ」「特許」「リーダーシップ」から「企業にとっての資産」という概念を抜き出したことで、あなた次のような「共通点」を発見したことになります。
しかし、ここで考えを止めてしまっては道半ばです。今度は「企業としての資産」という概念に対して「多面的な視点」で捉え直してみましょう。「多面的な視点」の切り口は、例えば次のとおりです。
・「原因」と「現象」の視点
・「量」と「質」の視点
・「論理」と「感情」の視点
・「有形」と「無形」の視点 etc
こうしてさまざまな視点を巡らせていくと、あなたは「ノウハウ」「特許」「リーダーシップ」の共通点が、企業の「無形の」資産であることに気がつくはずです。すると、この3つの新たな共通点は、次のとおりとなります。
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