現代のベートーベン詐欺にみる、二流の謝り方 佐村河内氏が新垣氏を訴えるって、なんでやねん?

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 グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。そんな中、人気コラム「グローバルエリートは見た!」の筆者で、『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』の著者であるムーギー・キム氏が後継者を募集。“芸風が似ている”ということで後継コラムニストとして指名されたブラザー・キム氏が、香港を拠点に世界を飛び回りながら、一流エリートと二流エリートの違いをつづっていく。  
佐村河内氏の謝罪は二流の謝り方だ(写真:アフロ)

 「ええっ、それ、いくらなんでもお門違いというか、厚かましいというか……、筋違いにもほどがあるんとちがうか!?!?!?」

オーストラリアはシドニーでこれを書いているのだが、本当は先週ベルリンで書いた話の続編で、“ドイツのおいしいソーセージに見る一流の働き方の極意”を書こうと思っていたのに、ネットを開いたら謎のいかさま作曲家、佐村河内氏が、こともあろうか新垣氏を名誉棄損で訴えるというではないか。

ふむふむ、「検査の結果、障害者手帳を返納したことと、音として聞こえることはあるが言葉が、聞き取りづらい状態である」のか。

なになに、「新垣氏とのコミュニケーションには、新垣氏の唇の動きなどから佐村河内氏が新垣氏の発言を読み取る口話という技術を使っていた」のか。

ふんふん、ほんでもって、新垣氏は「やめようと言ったのは1度だけで、何回も言っていたわけではない」のか。

うーむ、これで納得する人って世の中に、この佐村河内氏ご本人を含めて、ひとりでもいるんだろうか。

これで新垣氏を訴えるという挙に出た佐村氏の行動に対し、びっくりして腰を抜かしながらも、「なんでやねん!」と苦笑いしているのは、シドニーのちょっと古めのフォーシーズンズホテルで仕事の合間にこれを書いている、グローバルエリートの弟子こと、ブラザー・キムひとりではあるまい。

不誠実でウソつきと見なされた人が、社会的にできることはない

わが師・グローバルエリートのベストセラー、『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』で一流のエリートの共通点として「絶対に正直・誠実で、絶対に嘘はつかず、誠実だとみなされることが、ビジネスパーソンとしての自分の力の源泉だと理解している」と書かれていたが、今、佐村河内氏に起こっていることはまさにこれの逆である。

つまり絶対的に不誠実なウソつきと思われており、ウソにウソの上塗りをして、その結果、まさに何を言っても信用してもらえない状態だ。普通こういうとき、多少過度に批判されても仕方なく、大ウソをついた本人にできるのは誠実に謝るか、ないし黙ってほとぼりがさめるのを待ち、まったく反応をしないことで世間が忘れてくれるのを待つしかない。

たとえば島田紳助さんの引退のとき、暴力団とのかかわりや会見の虚説が取りざたされたときに、いっさいメディア取材に応じず成功裏にフェードアウトしたのと同じく、もはや恥を忍んで黙っていることが“最善”のように思えた。

そもそも不誠実でウソつきだと思われているのにやっていける職業は、政治家だけではなかったか。

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