現代のベートーベン詐欺にみる、二流の謝り方

佐村河内氏が新垣氏を訴えるって、なんでやねん?

詐欺師は論点をそらすのがうまい

さて、詐欺師とはいろいろな定義があるが、政治家の中でも一流の詐欺師は、質問されても確信犯的に論点をそらした回答をして世論をたくみに誘導する。彼らは国民からの怒りの対象は本来自分であるはずなのに、ほかに敵を作って世論を操作していく。道徳的には決して許せないものがあるが、詐欺師としては一流と言わざるをえない大物政治家は何人もいる。

言論の自由を求めて東京砂漠に迷い込んだキングコング、グローバルエリートの弟子ことブラザーキムは、初代・グローバルエリートが自由気ままにけしからん政治家批判をしていたのとは異なり、穏健派として婉曲に、敵を作らず頑張っていくと、天国のわが師(*まだ元気に生きてます)に誓ったのだが、このくらい許してもらえるだろう、とズバリ言うと、この点、佐村河内氏は残念ながら詐欺師にしても、二流の詐欺師と言えよう。

というのも、彼が会見で述べた事柄は、まったく論点でないばかりか、いかに的外れなことを言っているか本人が気づいてないところに、さすがに世間が失笑、いや、ひょっとすると爆笑しているからだ。ないし、佐村河内氏はキャラクターに徹して今回も長髪・髭・サングラス姿で杖を突いて出てきて、質問されても“聴こえないです”を連発して会見を打ち切れば、それはそれでプロレス的な生きる道があったかもしれない。

芸能人やプロレスラー、政治家も含め自分のキャラクターをデフォルメして売っているわけだが、佐村河内氏がいけなかったのは、作曲という著作権が厳正な世界で、おまけに障害を売りにしてあまりに長い間、人をだまし続けたうえ、ここにきて聞き苦しく、見苦しい会見で自爆してしまっていることである。

逆切れ提訴は、嘘つきの共通行動パターン?

佐村河内氏が何をどういおうと、ゴーストライターを使っていたのに作曲家をうたい、また全く耳が聞こえないというのもウソだったという、この2点の大きな事実は何をいっても動かない。

この不動の大ウソを前に、新垣さんが「1回しか(ゴーストライトを)やめようと言ってないのに、何回もやめようと言ったと言っている」などと、厳然たる大局的な事実に対して、ほぼどうでもいい些末な論点をあげつらって、いまだに自分を取り繕うとしている姿が、世間から不誠実だとの反発を買うことになっているのだ。

佐村河内氏は自分が引き起こした恥ずべき大不祥事に対し、見事なまでに世論の火に油を注ぎまくってしまっている。

自分が嘘をついて不祥事を起こしたのに、やることが“裁判をちらつかせて逆切れする”というのは、どこぞの引退した芸能人も、同じようなことしてなかっただろうか。反省して謝罪しなければならない身で、逆切れ告訴している場合ではないだろう。

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