ハウス食品とブルボンを分析する 円安と消費税増税に備える食品業界

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このような点を考えますと、ハウス食品の安全性は非常に高く、財務内容は抜群だと言えます。今のところ、収益性は円安もあり若干悪化していますが、会社の安全性という点ではまったく問題がありません。

消費税増税にらみ、コスト削減を進めるハウス食品

ただし、今後は4月以降に控える消費税増税の影響が考えられます。そこでハウス食品では、すでにいくつかの点からコスト削減に取り組んでいます。ひとつは、物流の効率化を進めるため、2018年3月期までに全国16カ所ある物流拠点を10カ所に集約すること。もうひとつは、売れ筋商品であるカレールー3ブランドの生産ラインを改良し、価格は変えずにルーを圧縮して小型軽量化することです。同社はこれらの対策によって、年間数億円以上の運送コストが削減できると見込んでいます。

ハウス食品だけでなく、そのほか食品メーカーや飲料メーカーも、容器の軽量化などのコスト削減に取り組んでいます。増税対策という面だけでなく、全体の景気が回復してきているとはいえ、消費そのものは大きく伸びているわけではありませんから、今後もますます競争が激しくなっていくと考えているのです。

さらにハウス食品では、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことで、和食への関心が世界的に高まるだろうという狙いから、米国の工場に和風食材「豆腐しらたき」の生産ラインを新たに設置しました。こちらは昨年度より2割の売上増が見込まれています。

今のところ、ハウス食品の収益は少し鈍化しているものの、安定はしていると言えます。今後、円安による原材料高や消費税増税といったマイナス要因を乗り越えられるかどうかは、コスト削減をどこまで進め、価格を抑えることができるか。消費者の心をつかむ商品を売り出していくことができるか。円安のメリットを生かすなどして、海外事業の収益を伸ばせるかがポイントとなるでしょう。

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