ハウス食品とブルボンを分析する 円安と消費税増税に備える食品業界

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損益計算書の続きに戻ります。「販売費及び一般管理費」も、「販売促進費」や「配送費及び保管費」など、全体的に少しずつ増えたことで640億円から667億円まで微増し、その結果、「営業利益」は102億円から85億円まで16.8%減となりました。

ただし、最終的な利益である「四半期純利益」は81億円と、前期より10億円増えています。これは、保有していた大阪府の土地を売却したことで得た「固定資産売却益」31億円が純利益を押し上げたのです。

まとめますと、同社の業績は、円安による原料高や競争の激化によって収益が少し悪化し、営業利益と経常利益ともに減益となりましたが、土地の売却益によって純利益は増えたということです。

次に、会社の安全性を調べてみましょう。貸借対照表(同5~6P)から会社の中長期的な安全性を示す自己資本比率(純資産÷資産)を計算しますと、76.5%となります。これは、製造業などの固定資産が多い会社では20%以上あるかが、安全かどうかの基準になりますから、ハウス食品の場合は非常に高い水準であることがわかります。

短期的な安全性はどうでしょうか。「資産の部」を見ますと、2014年12月末の「流動資産」のうち「現金及び預金」が239億円、すぐに現金化できる「有価証券」も251億円あります。

このような現預金やすぐに現金化できる資産は、大企業ですと、月商の1カ月分強あれば安全だと考えられています。ハウス食品の場合、現預金と有価証券の合計が490億円、月商が197億円ですから、月商の約2.5カ月分も持っているということです。短期的な安全性という点でも、まったく問題ない水準です。

一方、有利子負債はどれほど抱えているのでしょうか。「負債の部」を見ますと、「短期借入金」が46億円、「長期借入金」が2億円ですから、有利子負債は合計で48億円。これは即座に返済できる金額ですから、実質的に無借金経営です。

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