
(本記事は「会社四季報オンライン」でも配信しています)
歴史的な円安からの揺り戻しやトランプ関税の影響など、日本企業を取り巻く事業環境は不透明感が強い。そのような状況下で、株主還元に関連して注目度が増しているのがDOE(株主資本配当率)の指標だ。
これまで配当還元の指標と言えば、配当性向が一般的だった。配当性向は、税払い後の期間利益である純利益に対する配当総額の割合(「配当総額」÷「純利益」、%)で、多くの上場企業が株主に対する還元方針として具体的な配当性向の目安を公表している。
しかし、期間利益は事業の好不調や経済環境で大きくぶれることがあるし、事業が好調でも臨時的な特別損失が発生すれば純利益は目減りしてしまう。
株主資本に対する配当割合を示す指標
一方、DOEは、株主資本に対する配当総額の割合(「配当総額」÷「株主資本」、%)。株主資本を基準とするため、純利益を基準にするよりも短期的な業績変動に左右されにくく、株主からすれば安定した配当が見込めるメリットがある。
株主や投資家から還元強化を求める声が強まる中、国内の上場企業も株主への還元充実へと動いており、配当指標をDOEに切り替えたり、または「DOE5%を下限とし、配当性向3割を目安とする」といった具合に2つの指標を組み合わせて採用する企業が相次いでいる。
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