ハウス食品とブルボンを分析する 円安と消費税増税に備える食品業界

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続いて、貸借対照表(同4~5ページ)から会社の安全性について調べますと、自己資本比率は54.2%。前半で分析したハウス食品ほどではありませんが、十分安全な水準です。

さらに、「資産の部」のうち2014年12月末の「現金及び預金」は110億円。それに対し、「負債の部」から有利子負債の額を調べますと、「短期借入金」が18億円、「長期借入金」が6億円ですから、ブルボンもハウス食品同様、実質無借金経営です。

このように、ブルボンは営業減益となりましたが、安全性は非常に高く、今のところ財務的にはまったく問題がないと言えます。

海外でも評価が高い日本のお菓子

菓子業界も海外進出をする企業が増えてきていますが、ブルボンも例外ではありません。今のところ、同社では中国のみ展開していますが、米国へも進出しようと現地で市場調査を行っているという報道がありました。

和食だけでなく、日本のお菓子も海外からの評価が非常に高いのです。ただ、日本人の味覚と他国の人の味覚が微妙に違うことに注意しなければなりません。私は米国に住んでいたときに感じたのですが、米国人は日本人と比べると、甘さを感じる閾値が微妙に違うのでしょう。米国人は甘さについては少し鈍感ですが、塩辛さには非常に敏感です。一方、日本人は甘さには敏感ですが、塩辛さの耐性は強い。ですから、おそらく米国製のお菓子は、日本製のものより砂糖の分量が多いのではないかと思います。

こうした味覚のギャップがありますから、同社は現地で綿密なリサーチを重ねたうえで、米国人に喜ばれる商品を開発していこうと考えているのでしょう。

いずれにしても、菓子業界は安定しているとはいえ、国内では消費税増税が控えているうえに、菓子市場も拡大していくとは考えにくいですから、海外での収益をどれだけ上げていけるか、という点が大きなポイントになっていくのではないかと思います。

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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