「赤字ベンチャー」に高値がつく本当の理由 「ユニコーン乱立」時代の「見えない」資本論
「ありえない」価格と「ありえる」価格
ユニコーンとは評価価値が巨大な新興企業を示す言葉だが、なぜ赤字ベンチャーに巨額の値がつくのか。これはきちんと解明されていない現代の不思議の1つで、経済的な難問だ。
ビジネススクールでその評価を議論をしても、ロードショウ(公募価格の値決めのために行われる出張説明会)の実地においても、「適正」「妥当」な水準をめぐっては侃侃諤諤(かんかんがくがく)の白熱したやり取りになる。
その不思議の解明の、重要な基礎的部分(の一部)を説明するかもしれない著書が登場した。『無形資産が経済を支配する 資本のない資本主義の正体』である。気鋭の若手研究者2人が丁寧にその謎に迫っている。
例えば、専門家が「ありえない」と評した価格がついた企業があったとして、それはありえる水準からの乖離だと考えられるとする。では、そのもともとの「ありえる価格」とはなんなのだろうか。
「ありえる価格」は伝統的なバリュエーション(価値算定)で、近代の会計や計量的な経済学から導き出される数値である。多少の変更はありながらも、基本的には企業が持っている資産の量、そしてそれを使っての将来の利益を計算して評価額は決まる。
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