「赤字ベンチャー」に高値がつく本当の理由

「ユニコーン乱立」時代の「見えない」資本論

今でも伝統的なバリュエーションは健在だが、実は最近では企業の価値算定において伝統的なバリュエーション以上のプライスがつくケースが多くなってきている。とくに新興企業が初上場を果たすときなどは顕著な例だろう。

無形資産が主体となる資本主義時代の到来

そこで主役となっているのが「無形の資本」としての「無形資産」なのだと彼らは主張する。

「資本」とは、「将来にわたって価値を生み出すもの」くらいの意味だとここでは考えてほしい。

お金、土地、施設などがわかりやすいものだ。そのまま生産のために使ってもいいし、貸してもお金を生み出す。

それらは「有形の資本」だが、今は「無形の資本」が幅を利かせているというのだ。著者の推計では、もはやその経済寄与度は有形の資本を上回っているという(同書、p34~35)。

そして、現代の特徴である「無形の資本」を捕捉することが、伝統的な経営学や経済学は実はあまり得意ではなかったりする。経済学では資本主義を中心的に扱うが、じつは「資本とは何か」に関しては現在進行形でいろいろな議論がある(有形のものに加え、人的資本、知識資本、社会的資本など)。

経営学では、とくに会計やファイナンスの分野になるが、実物資産以外を扱うのが苦手ではある(とくに著者たちは土地台帳を作っていた時代とあまり変わりないと冒頭で大胆に示唆している)。

現代の経済学や経営学では容易に捉えられないが、現在の経済の重要性の大半を占める「無形の資本」を本書では「ダークマター」(ダークマターは宇宙を密に満たす物質だが、計算上は存在を確認できるが実体がよくわかっていない)と表現しているが、なかなか的確な比喩ではないかと思う。

捉えにくいものの、今やしっかりと多数派として存在する“経済のダークマター”たる「無形の資本」の正体とは、具体的には何なのか。またその性質の分析を通して、「いまの資本主義経済の本当の姿」について概観していこう。

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