孤独死した40代男の部屋に見た20年に及ぶ孤立 「ひきこもり」経て親も亡くなり悲劇は起きた
鉄製のドアを開けて上東さんが、部屋に足を踏み入れると、廊下は、コンビニの袋やプラスチックの弁当箱、ジャンクフードの紙袋などで埋め尽くされていた。
洗面台とトイレは、長年のカビやヘドロがこびりついていて、真っ黒だった。孤独死する人の部屋は、風呂や洗面台がこのような状態になっている人が少なくない。
自分で自分の世話ができなくなる
自分で自分の世話ができなくなる、セルフネグレクト(自己放任)に陥ってしまい、掃除する気力や体力さえも無くなってしまうからだ。
奥の部屋には、背の高さまで隙間がないほどに鉄製のラックが並べられていた。その上にはテレビやパソコン、ゲーム機が配線されたままホコリをかぶっている。
テレビ画面の正面にこたつがあり、こたつに入りながら寝たり、食べたり、ゲームやテレビ鑑賞ができるように、衣食住のスペースが1カ所に固められていた。高橋さんは、食料を調達するために外出するとき以外はほとんど、この部屋から動かなかったのだろうと上東さんは予想した。
キッチンはホコリを被っていて、少なくとも数年間は使われた形跡はなく、自炊をまったくしていなかったことが見て取れた。
「彼の1日の生活範囲は、こたつの前から座って動ける範囲だったと思う。たまにトイレに立ち、気が向けば風呂に入る。食料の調達は近くのスーパーで惣菜弁当を買いにいく位だね。それ以外の物は、アマゾンでネット購入するけど、ゴミはなかなか出せないから、箱は玄関脇の部屋に無造作に投げ捨てていたんだろうね」
高橋さんが引きこもった原因は定かではないが、両親が亡くなった後は、いちばん広い部屋を居住スペースにしていたらしい。
「母親が亡くなった後、高橋さんは、食料の調達を自分でするようになったんだと思う。お金があれば、生活費に困ることはないし、欲しいモノも贅沢をしなければ、ネットから手には入る。帽子をかぶりマスクをすれば、近くのスーパーにはいける。勇気を出せば、マクドナルドだっていける。
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