孤独死した40代男の部屋に見た20年に及ぶ孤立

「ひきこもり」経て親も亡くなり悲劇は起きた

だけど、近所の目もあって、ゴミを出すことができずに、掃除もしないから、室内は徐々に不衛生になっていく。外出もほとんどしないから体力が衰えて、何よりも食がどんどんと偏る。お母さんが亡くなる前までは、ちゃんとしたモノを食べていたんだろうけど、1人になって味の濃いジャンクフードやお菓子という暴飲暴食の食生活が、徐々に彼の身体を蝕んでいったんだと思う」

買いだめしたカップ麺や、加工品のゴミの山がそれを物語っていた。

私自身、元ひきこもりの当事者である。男性の生活スタイルが痛いほどに理解できる。ひきこもりが続くと、室内でできることは限られるので、昼夜逆転してゲームとパソコンでネットサーフィンばかりしていた。

わずかな居場所である部屋の中という小世界では、それぐらいしかできることがないからだ。内閣府は、広義のひきこもりとして、自室からほとんど出ない状態だけでなく、趣味の用事や近所のコンビニ以外には外出しない状態が6カ月以上続く場合と定義している。

ひきこもりでも外出はできるが

ひきこもりというと、家にこもって外出すら困難だと思われがちだが、近所へ食料の調達など、没コミュニケーションの外出ならできるものだ。

しかし、私の場合、昼間は外に出ると誰かが見ているような気がするので、夜に隠れてコソコソと外出していた。

私自身、親の車でスーパーなどには外出するが、内心は葛藤の連続だった。私がひきこもりだったのは中学時代だったため、まだ親と同居していた。かろうじて親を接点にして外界とつながっていたが、親が亡くなった後は社会との関係は遮断される。しかも時間が経てば経つほど、焦りは強くなる。

もし自分が亡くなった男性と同じようにそのまま、何十年もに渡ってひきこもりが続いていたら、どうしていただろうか――と思う。男性のように孤独死していたかもしれない。そして、それは紙一重だったと感じるのだ。

親も老いて、いつかは死ぬ。だからといって「そのとき」に、外部に助けを求めることは難しいだろう。親が亡くなった後、金銭面で苦しくなり最悪、餓死というケースも考えられるが、ひきこもりの支援を行っている関係者によると、親の遺産として500万円以上の現金を所有しながら、セルフネグレクトとなり若くして孤独死したひきこもりの人の例もあった。

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