清家篤・慶應義塾塾長--危難の時代に大学はどう生き残るか

清家篤・慶應義塾塾長--危難の時代に大学はどう生き残るか

金融危機の余波が続く私立大学。中でも慶應義塾大学は2008年度決算で有価証券評価損を169億円計上。創立150周年事業の一つとして11年度に開校を予定していた新小中一貫教育校の開設延期を打ち出すなど、一部事業の見直しも断行している。5月に就任した清家篤塾長に今後の方針を聞いた。

--大学経営は企業以上に、経営の継続性や長期的な取り組みが求められますが、あえて新塾長として「見直し」したい点は何ですか。

慶應に限らず、大学にとって、いかに教育、研究の質を高めていくかという目的は変わりようがない。慶應には医学部や病院もあるから、医療の質も加わってくる。つまり歴代の塾長が必ず達成しなければならない目標は、教育、研究、医療の質をどう高めていくかに尽きる。

さらに、私学には建学の精神がある。慶應でいえば、福沢諭吉の「実学」や「独立自尊」などの精神は、変えないことこそが強みになる。

一方、大学を取り巻く環境は大きく変わっている。経済のあり方も変わり、人口構造も高齢化が進む中で変化している。教育、研究、医療の質を高めるとの目標は不変でも、それを具体化するための形は、外部の環境変化に応じて変わりうる。

金融危機の影響で慶應もかなりの含み損を抱え、事業を進めるために必要な資金運用益も減った。財政の制約が厳しくなる中、教育、研究、医療の「質的向上」を図るには、新しい事業への「量的拡大」をスローダウンしなければならない。それが、塾長就任会見時にも申し上げた「見直し」の内容だ。

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