清家篤・慶應義塾塾長--危難の時代に大学はどう生き残るか

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運用利回りは2%台に 借入金も大幅に圧縮

--逆に安西祐一郎前塾長時代から継続すべき方針として、「グローバル化」「オープン化」を掲げています。具体的には何を指しますか。

日本はグローバルの中でしか生きていけない。グローバル化にはいい面も悪い面もあるが、若い人たちはこれから逃げるわけにはいかない。つまり大学がグローバル化を掲げるのは正しい選択といえる。

7月に、慶應は文部科学省の「グローバル30」の拠点に採択された。その中で外国人留学生を増やし、彼らが英語の授業だけで学位が取れるようなプログラムを提供する。慶應からも海外に学生を出していく。そうしたことも含めて、グローバル化を一層加速していく。

もう一つのオープン化では、まずは慶應のさまざまな研究成果を、積極的に国内外へ発信していく。学者の中だけでの自己満足の学問ではなく、実際に役に立つ、あるいは外の社会にインパクトを与えるような研究・教育活動を発信する。同時に、外部からさまざまな研究資源を積極的に獲得していく。一つには人材、そしてさまざまな研究資金だ。オープン化は産学連携にもつながる。

--昨今の金融危機が慶應の経営に与えたインパクトは?

資産の含み損が出て、そのうち一部を評価替えして欠損処理したため、大きな赤字の原因になった。また、資産の運用益も大まかに言って半減した。

ただ、学納金や国からの補助金、産学連携の研究資金は、経済危機の中でも大きな変化はない。通常の教育研究活動については何ら見直す必要はない。むしろ、質の点では着実に向上していけると自負している。

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