あのパナソニックが担う「トンネル換気」の凄み 有害物資を除去、インフラ支える陰の主役

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パナソニック環境エンジニアリングは、パナソニックグループ内で住宅や住宅・建物設備分野に所属する会社だ。パナソニック環境エンジニアリングの親会社であるパナソニックエコシステムズは、家庭やオフィス向けの空気清浄機や換気送風機器を製造しており、空気清浄技術に強みを持つ。

パナソニックは2019年12月、トンネル向けの換気事業の売上高を2025年度に2018年度の1.6倍にする目標も公表。パナソニックエコシステム全体の売上高も、2018年度の1780億円から2025年度に3000億円にする計画で、グループ全体でBtoB向けの空調関連ビジネスを強化する。

容易でない海外成長の余地

パナソニックは今回の大和川線でジェットファンに新しい技術を取り入れた。高密度の吸音材を使用することで消音筒を短くすることで、軽量化や保守作業も簡単にできるようになった。しかし、国内のトンネル換気事業は日立や東芝も手がけており、今回の新技術も「競合他社も技術的には可能」(パナソニック関係者)と国内の競争環境は激しい。

トンネル換気事業の海外売上比率は1割未満で、成長余地があるものの、海外での成長も容易ではない。

パナソニックのBtoB事業はこれまで、スイッチなどニッチな分野で世界や国内のトップシェアを誇ってきた。ただ、それらの得意領域以外で成長を実現できておらず、ひいてはパナソニックグループの業績停滞の一因にもなっていた。

パナソニックは現在、住空間や社会インフラ領域を中心に、従来の単品・売り切り型のビジネスモデルから、継続的に稼ぐ「リカーリング」型に転換することを目指している。トンネル換気事業は保守サービスや今後の更新需要も見込まれ、この戦略に合致するビジネスだ。

連結売上高8兆円のパナソニックグループ全体からすると1%にも満たない事業部門だが、その成否は同社の戦略がすみずみまで機能しているかの試金石の1つとなる。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

東洋経済編集部員・記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。現在は、特集や連載の企画・編集も担当。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。早稲田大学台湾研究所招聘研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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