あのパナソニックが担う「トンネル換気」の凄み 有害物資を除去、インフラ支える陰の主役

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国内のトンネル換気市場の規模は案件件数によって異なるが、「おおむね年間100億円強」(業界関係者)。老朽設備の更新や保守メンテナンス需要もあり、市場規模は拡大傾向にある。

自動車の排ガス内に含まれる有害物質は集塵機で除去する(記者撮影)

自動車の環境性能向上や電動化が進み、トンネル内の空気環境はかつてほど悪くなくなっている。一見すると、業界にとって逆風が吹き始めているようにもみえるが、パナソニック環境エンジニアリングの岩田敏朗・道路環境営業グループリーダーは「トンネル内で事故や火災が発生した際に排煙することが求められるなど、防災機能は残る」と話す。

トンネル設備の更新時に高性能な換気設備に切り替えたり、防災意識が高まりつつある海外需要も増えている。岩田氏によれば、風の流れをコントロールすることで煙をトンネル内に押しとどめ、避難に必要な視界を確保する、防災面での機能も期待できるという。

笹子トンネル事故以降、増える更新需要

換気方式の変化も設備更新需要が増えている理由の1つだ。前出の阪神高速道路大和川線では、天井板を用いない換気方式を採用した。

2012年12月に起きた中央自動車道・笹子トンネルの天井板落下事故で9人が亡くなった。笹子トンネルでは天井板を使う「横流換気方式」が採用されており、老朽化や点検不足による天井板崩落の危険性があることから、この事故以降、天井板を用いない換気方式にするトンネルが増えている。

笹子トンネル事故では火災が発生し、トンネル内は煙でいっぱいになった。換気ダクトの役割を果たしていた天井板が落下したため、排煙ができなかったためで、トンネル内の換気設備の必要性を示す事案ともなった。

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