日本に4店、「フライターグ」が密かにキテる理由

エコブランドの開拓者で、数多くのファンも

創業のきっかけは、デザイナーだったフライターグ兄弟が撥水性などに優れた丈夫なバッグを探し求めたことだった。兄弟が当時住んでいたアパートは幹線道路に隣接し、目の前を行き交うカラフルなトラックを日々眺めているうちに、その幌を活用してバッグを作れないかと思いついた。兄のマーカス・フライターグ(以下、フライターグ)氏は、「エコブランドであることを先行して考えたわけではなく、まずは機能性とデザインを追求した」と振り返る。

創業者兄弟の兄に当たるマーカス・フライターグ氏。デザイナーであるフライターグ兄弟が、耐久性の高いバッグを探し求めたことが創業のきっかけだった(編集部撮影)

知名度がなかった創業間もない頃は、メインの材料となる幌の収集で苦労が続いた。トラックの運送業者に電話をかけても、「お前たちは一体何者なんだ」といぶかしがられ、断られたケースは数知れず。

だが、1997年に転機が訪れた。地元の大手スーパーがフライターグのバッグの模倣品を「コピー商品」として安く販売し、大きなニュースとなったのだ。それがフライターグにはかえってプラスに働いた。「自分たちの商品がオリジナルであることが知れ渡った。知名度が上がり、業者からの幌の仕入れがしやすくなった」(フライターグ氏)。

生産の大部分はスイス本社で

その後は口コミを中心にブランド認知が高まり、世界中に顧客がじわりと広がっていった。テレビCMやポスターなどの広告は展開せず、他のブランドのように「20~30代の女性向け」などといったターゲット層の設定もない。だが、「長く受け継げる商品として、10代から80代まで世代を超えて利用していただいている」(フライターグ氏)という。

価格は、主力商品の1つである斜めがけのメッセンジャーバッグで2万~3万円前後。カジュアルバッグとしては安くないが、セールなどの値引きは原則行わずにすべて定価で販売する。廃材を活用するため原材料費自体はさほどかからない反面、ヨーロッパ各地で仕入れた幌の輸送費や、ほぼ手作業で行う生産工程での人件費などを考慮したうえでの価格設定だ。深い傷が付いたり穴が空いたりした場合には、修理も受け付けている。

“お手頃”とは言えない価格でありながらもファンが増え続けている理由は、その独自性にある。使用済みの幌で作られた商品は1点1点デザインが違う。リサイクル素材を使用しているため、くたびれ方や汚れ、傷の付き具合も異なる。

それが唯一無二の「自分だけのバッグ」という特別感や、掘り出し物を探すような感覚をかき立てる。さらに環境への配慮を徹底した生産背景や資源に対する問題意識が伝わり、多くの顧客の共感を生んだ。幌ならではの耐久性も、他のブランドとの差別化要素となっている。

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