伸びる子は「知識の杭」をたくさん打っている 本物体験によってできる「学習のレディネス」

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授業では、それまで何となく感じていたことに、学問の光が当たります。そして、自分が体験したモンシロチョウとバッタだけではなく、いろいろな昆虫がすべてその2種類に分けられるということも学びます。これは、自分の経験を整理し、抽象化し、体系化する過程であり、勉強や学問の本来的な面白さはそこにあるのです。

こういう本来的な面白さをたくさん経験できる子は、学問・勉強が好きになります。でも、今の子どもたちは「これは試験によく出るから、どれとどれが完全変態でどれとどれが不完全変態か覚えなさい」と言われて、懸命に丸暗記するような勉強が多くなっています。こういう勉強ばかりしていると、「勉強ってつまらない。勉強って何のためにするの?」といったことになりがちです。

クラス1の歴史博士と宇宙飛行士…2人の本物体験とは

次は、静岡県の田辺さん(仮名)に聞いた話です。田辺さんには5年生のみどりさんという女の子がいます。ある休日に、田辺さん親子は郷土博物館に行き、勾玉(まがたま)作りとちょっとした発掘作業を体験しました。すると、その1週間後にテレビで吉野ヶ里遺跡に関するニュースが流れたとき、みどりさんは大変熱心に見たそうです。またその数日後に書店に行く機会があり、みどりさんは歴史図鑑の勾玉や古墳のところを読み始めました。

それで、田辺さんがその歴史図鑑と邪馬台国(やまたいこく)を扱った歴史の学習マンガを買ってあげたところ、家でも一生懸命読むようになりました。それがきっかけで、いろいろな時代の歴史マンガを図書館で借りて読みまくるようになり、短時間で歴女に変身したそうです。

その後、6年生になって授業で歴史の勉強が始まるとクラスで1番の歴史博士ということになり、大きな自信になったとのことです。この一連の発展も、元をたどれば郷土博物館で本物体験をして知識の杭ができたのが始まりです。

次は宇宙飛行士の山崎直子さんの話です。山崎さんは、小学1、2年生のとき北海道の札幌に住んでいました。星がとてもきれいに見えるところで、近所で「星を見る会」があると家族でよく参加していました。そのときに、天体望遠鏡で月のクレーターや星を見て、「宇宙って本当にきれいだなあ。すごいなあ」と思ったのが、宇宙に興味を持つようになったきっかけだそうです。

出生地の千葉県松戸市に戻ってからも、2つ年上の兄とプラネタリウムによく通い、宇宙への興味を深めていきました。また、宇宙への関心からテレビアニメの「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」をよく見ていたそうです。親御さんも、ボイジャーから送られてきた写真の展覧会に連れて行ってくれるなど、山崎さんの好きなことをよく応援してくれたそうです。

ということで、山崎さんが宇宙飛行士になったのも、やはり子どもの頃の本物体験が大きなきっかけだったわけです。

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