伸びる子は「知識の杭」をたくさん打っている

本物体験によってできる「学習のレディネス」

次は松田さん(仮名)の話です。松田さんは私の講演会を主催してくれた団体のスタッフで、そのとき興味深い話を聞かせてくれました。松田さんは、子どもの頃歴史マンガをきっかけに歴史が好きになりました。両親も松田さんの好きなことを応援してくれて、各地の城や博物館によく連れて行ってくれました。

松田さんは、城をたくさん見ているうちにその美しさにひかれ、城の本を読むようになりました。それで、有名な城の名前、場所、特徴、領主の名前などをたくさん覚えました。

そのうち、とくに城の石垣に興味を持つようになり、石の積み方の研究を始めました。日本の城だけでなく、中国の城、マヤ文明、インカ文明、エジプトのピラミッドなどの石の積み方も比べて面白かったそうです。 そのうちに粘土やブロックで城の模型を作るようになり、次に紙工作で作るようになり、やがては木材で作るようになりました。

そうしているうちに、建築一般に興味を持つようになり、ついには建築士になりました。もともと、いわゆる勉強は好きでなかったようですが、建築士になりたいと思ったとき急にエンジンがかかり、どの教科もがんばって勉強するようになったそうです。

本物体験は、楽しくない勉強のときにも大いに役立つ

次は、私が学校で受け持った聡太君(仮名)の話です。聡太君は、親戚のおじさんと焼津漁港に行き魚の水揚げや市場の競りを見学しました。それが水産業の勉強のときに大いに役立ちました。実は、水産業の勉強は、多くの子どもたちにとってそれほど楽しい勉強ではないのですが、本物体験によってレディネスがあった聡太君は、次のような発表をたくさんして大活躍しました。

「水揚げされる冷凍マグロってカチンカチンに凍ってて、石みたいなんだよ」「それにすごく大きくて重くて人間には持てないから、船から降ろすときはリフトやベルトコンベヤーでやるんだよ」「魚市場の競りは夜明け前からやってるから、すごく寒いんだよ。でも、みんなものすごい大きい声で元気がいいんだよ。でも、何を言ってるのかさっぱりわからなくて、日本語じゃないみたいだった」

子どもには、たくさんの本物体験をさせて、知識の杭を増やしてあげてください。そうすれば、自然に知識がたまって学習のレディネスができ、勉強が好きになり学力もつきます。知識の杭を立てるには図鑑、学習マンガ、動画なども効果的ですが、1番インパクトがあるのはやはり本物体験なのです。

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