「人が足りない」日本企業が迫られる劇的変化 世界で一番人を採用しにくい市場になった

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一方、日本企業はあらゆる分野においてスペシャリストをより必要としている。スペシャリストの必要性は、変化するビジネス環境によっても高まっている。

例えば、グローバリゼーションによって、企業は消費者の嗜好の変化や激しい競争に、より迅速に対応しなければならなくなっている。アジアの競合他社が存在感を増す中、仕事を進めるスピードはよりリーンかつスピーディーさが求められるようになっている。

一方で、多くの内部プロセスはより複雑化しており、高品質の製品を製造して販売するだけではもはや不十分になっている。仕事の流れはより複雑化し、法的および技術的な革新には新たなスキルが必要なうえ、コンプライアンスや、職場のデジタル化、新しい労働法、職場の平等――といった課題には、それぞれの分野の専門家が不可欠だ。

今では伝統的産業でさえ、新しい法律や、最新技術の導入への圧力、消費者の嗜好の急速な変化、販促のためソーシャルメディアを使用する必要性といった多くの変化に直面している。これは新しい専門知識の必要性につながり、企業は現在、コンプライアンスの専門家やソーシャルメディアマーケティングマネジャー、イノベーター、企業内起業家を必死に探している状況だ。

新卒者に技術を学ばせるのは時間がかかりすぎる

それでもまだ、日本企業はこうした人材を探すよりはむしろ、既存の従業員を「訓練」することで要件を満たそうとしているところがある。法的、あるいは社会的変化に対応するため、自らの従業員に必要な専門知識を習得させようとするのだ。

だが、会社にコンプライアンス関連の問題や、多様性管理のスペシャリストがいない場合、従業員が自ら学んでこうした課題に詳しくなるには、何年もかかってしまうかもしれない。それでは、競争力にマイナスの影響が出てしまう。すべての若い従業員を教育して、新たに浮上している課題を学ばせるのは時間がかかりすぎる。

こうした中、労働不足を解決する1つの方法は、中途採用である。実際、専門知識を持つ人材を中途採用する重要性は高まっており、企業はそうすることでより活発で俊敏になることができる。転職者の多くが40〜65歳であるという事実は、とりわけ興味深い。彼らは数年前までは新たなスタートを切るには年を取りすぎていると思われていた。だが今日、こうした年齢層のスペシャリストの需要は非常に高く、退職後もしばしば雇用され続けている。

もう1つの解決策は、外国人労働者を雇用することだ。ヨーロッパの国々の多くでは、ITマネジャーやソフトウェアのスペシャリストといった技術者が不足しており、こうした国ではインドなどアジア諸国からくるIT技術者向けに、特別なビザ制度を用意している。

日本も外国人の専門技術者が日本で働きやすい環境作りには力を入れているものの、異なる文化的背景を持つ従業員たちをまとめていくことは、日本に限らずどの国においても大変な苦労を伴う。最も大きいのは言葉の問題だ。日本語は習得するのが非常に難しく、現地の言葉を話さずに企業で成長していくことは、どこの国においても容易なことではない。

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