中小企業と業務自動化ソフトの相性が悪いわけ 導入効果小さく、業務の全体像把握も困難
パソコンにおける事務作業の自動化、通称「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の普及が加速している。
RPAとは、定型的な事務作業を自動化ソフトで代替すること。例えば経理部が交通費の申請に正しい金額が入力されているか、乗り換え検索サイトと照合する業務があるとしよう。その業務における入力・操作は、決まりきった作業を何度も繰り返す。こういった業務手順をRPAソフトに教え込ませることで、作業を自動化・効率化することができる。
RPA導入は大企業が先行
RPAにはロボットという言葉が入っているが、ソフトバンクの「ペッパー」のように形のあるロボットがデスクに座り、物理的にパソコンを操作しているわけではない。人が日ごろ行っている単純な入力・操作を代行する、ソフトによる自動化だ。
2018年3月に上場したRPAホールディングス傘下でRPA大手のRPAテクノロジーズによると、同社の提供するサービスの導入企業数は急速に拡大している。IT系調査会社のミック経済研究所の調べでは、国内のRPAソリューション市場は2021年までに現在の2.9倍となる1300億円へ成長する見込みだという。
今のところ、RPAの導入は大企業が先行している。だが、日本企業のうち99.7%が中小規模(2014年時点)であり、その多くが大企業より深刻な人材採用難に苦しんでいる。そのため、RPAテクノロジーズの大角暢之社長は「どんな規模の企業でも使えるようにRPAを大衆化しなくてはならない」と意気込む。
2018年には中小企業のRPA導入へのハードルを下げるため、ソフトを提供する各社が相次いでクラウド型サービスを展開し始めた。従来のRPAの多くは、使用頻度や使用時間に関係なく月額や年額でライセンス料を徴収する形式が中心だった。しかし、クラウド型は従量課金制で、RPAソフトの利用量に応じて料金を徴収する。利用量が少なければ、低料金で済む。
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