ELTいっくんが「いい人に見える」深いワケ

音楽界の中間管理職、仕事を語る

今やバラエティ番組でもおなじみの人となったELT(Every Little Thing)のギタリスト、伊藤一朗氏。その肩の力の抜けたマイペースさはどのように醸成されたのでしょうか?
今年、デビュー23周年を迎えたELT(Every Little Thing)。そのギタリストとして活躍する伊藤一朗氏は、プロデビューが決まった際、「2年で終わる」と冷静に思っていたという。
デビューと同時に思いがけずブレイクするものの、間もなくメンバーの脱退で解散の危機に。それを乗り越え、今やバラエティ番組でもおなじみの人となった伊藤氏。50代になった今、2回りも年下の若者に「伊藤さん、ギター弾けるんですね!」といわれることもあるという。
その肩の力の抜けたマイペースさはどのように醸成されたのか? 格好つけない、気合も入れない、それでも幸せな人生を送れる、ユルくて強い大人のメンタルを初公開します。
※本稿は、伊藤一朗『ちょっとずつ、マイペース。』(KADOKAWA)を再編集したものです。

自分でやれば、人のせいにしなくてすむ

僕は、たまたま音楽の世界で働いているが、多くの人と同様、会社員だ。いうなれば、ミュージシャン界の中間管理職である。会社からはまず結果を求められるし、部下に怒っている人を見て「あの仕事は僕にはできないな」と思ったり、後輩に相談されてどう応えようか悩んだり、自分が失敗して落ち込んだのをどう持ち直そうか考えたりする。

一方、中間管理職としての仕事以外に、僕個人としての仕事もたくさんある。今回は、自分で決めていることや心がけていることを、ちょっとだけ書いてみたい。ミュージシャン以外のビジネスパーソンの皆さんにも、共感いただけるといいなと思う。

僕はいつも、温度計と湿度計を持ち歩いている。ギターのネックを補正するための必需品だ。とくに湿度計は大事。ギターは木でできているので、湿度によって縮んだり膨らんだりする。すると、弦の振動幅にも影響が出る。

放っておくと、弾けるはずのフレーズが弾けなくなる、なんてことが起こる。例えば、速いテンポの曲の中の6連符(1拍に6つの音が入ること)とか、そういう1音0コンマ何秒の高速フレーズなどは、ちょっとした調整不足ですぐ弾けなくなる。

だから、演奏前のネック補正は欠かせない。その日の天候や、土地ごとの気温や湿度に合わせて毎日調整するのはけっこう手間がかかる。それが煩わしくて、曲を作るときに高速の連符を入れないミュージシャンも、実はいたりする。でも僕は、演奏家としてそれはしたくない。ギターを通して表現する仕事をする以上、かけるべき手間だと思っている。

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