「月面基地」実現へ活きる日本のすごい住宅技術 JAXA・極地研・ミサワホームが南極で実証実験
南極という過酷な環境において、ミサワホームは50年以上にわたって隊員たちに快適な居住空間を提供し続けてきたわけだ。そして、その取り組みは今、月面における居住空間の提供を見据えた新たな段階に移ろうとしている。
国立研究開発法人・宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)、国立極地研究所(以下、極地研)、ミサワホーム総合研究所と共に2020年2月から昭和基地で実施する、「南極移動基地ユニット」の実証実験がそれにあたる。
極地研は日本の南極・北極研究を主導し、南極地域観測隊を派遣している研究機関である。10月29日に東京都立川市にある同研究所の施設内で、建物としてほぼ完成形となった実物が公開された。
ユニットに導入されたさまざまな新技術
コンテナ規格(長さ約6.0m×幅約2.4m×高さ約3.0m)に準拠したユニット2つが連結されたもので、床面積は約33㎡となっている。現地では隊員の会議・食事スペースとして活用されるという。
南極昭和基地において1年間、居住・施工・移動に関する実証・試験運用が行われた後、標高約3800mの内陸部にある氷床深層掘削拠点「ドームふじ基地」まで、ユニットにソリを着けて雪上車で輸送される計画である。
なお、南極移動基地ユニットは、分離されコンテナ状の形に戻され、11月12日に東京港を出港した第61次南極地域観測隊を運ぶ南極観測船「しらせ」に積載され、南極へ向けた途上にある。
以下、建物について紹介する。外壁に太陽光パネルが設置されているのが外見上の特徴だ。太陽光パネルを設置するのは、エネルギーを確保するためだが、外壁に取り付けられているのは、南極では太陽が高く昇らないためである。
構造体は従来の建物とは異なり、鉄骨ユニットによるものだ。昭和基地からドームふじ基地への輸送に耐えうる強靱性が必要とされるからである。これにすでに用いられている120mm厚の木質パネルが取り付けられていた。
いくつもの新技術が採用されている。構造体については「セルサイクル工法」と呼ばれる、建物の拡張と縮小を繰り返し行え、専門的な知識やスキルのない人でも、短期間に施工できるようにした手法があげられる。
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