Eメールの時代は終わる?「Slack」の隠れた威力 CEOが語る経営、ものづくり、生い立ち(前編)
――スラックのサービスを通して解決したかった働き方の課題とは何でしょうか。
僕たちのミッションは、仕事生活をよりシンプルに、快適に、生産的にすることだ。職場で愚痴をこぼすとき、多くはコミュニケーションに関わるもの。同僚とのコミュニケーションではっきりと理解できないと、不満がたまる。とくに違う部署との共同作業は非常に難しい。
スラックはこれを改善できる。透明性を担保し、簡単に団結し、協力し合える環境を作り出せる。誰もが仕事場で多くの時間を過ごすわけだから、多くの人の幸せにとって大きなインパクトを出せると思う。
部署異動してもすぐに状況を把握
――では、スラックで実現できることとは?
導入してくれる企業には、1対1のダイレクトメッセージよりも、チャンネルの活用を勧めている。企業の中では部署を異動したり、組織改編があったりして、人はつねに動き続けている。
着任したばかりの部署や新たに参加したプロジェクトでも、そのチャンネルを見れば、これまでのやりとりがすべてそこで見られる。書類を見つけたり、競合企業、パートナー、あるいは顧客の名前で検索して情報をチェックしたりできる。コミュニケーションがどんどん蓄積され、アーカイブとしての価値を持つ。
一方、Eメールは非常に重要なテクノロジーで、長年使われてきた。ただEメールは情報が時系列に並んでいるだけで、とくに社内のコミュニケーションには向かない。スラックのチャンネルならプロジェクトやトピックごとに固まっている。EメールはどちらかというとTo-Do(やること)リストのようなもの。チャンネルは、このプロジェクト、この顧客のことならすべてここにある、というものだ。
――とはいえ、メールより簡単にメッセージを送信し合えるので、やりとりが多すぎて圧倒される人もいると思います。
確かに(チャットは)新しいカテゴリーだ。自動的に課題を解決してくれるわけではなく、行動を合わせていく必要がある。一方で僕たちはスラックをなるべく自然に使えるように努めている。新着メッセージの通知の方法や検索機能の改善など、ユーザーを圧倒せずに価値を感じてもらえるようにしなければならない。
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