牛の角も材料!何とも「風変わりな農法」の中身 バイオダイナミック農法とは何か
日本で超感覚、スピリチュアルというと、眉唾や怪しいと受け取る向きもある。明治維新で積極的に西洋的合理主義や近代科学思想を取り入れ、第2次大戦後のGHQによる神道指令によって国家神道が廃止されたり、政治と宗教の徹底的な分離が図られたりした。この結果、神の存在が近かった日本では宗教が遠ざけられ、宗教に名を借りた商業主義とも相まって、宗教やスピリチュアルがいかがわしく危険な存在と認識される傾向が強まった。
だが、世界に目を向ければ、キリスト教やイスラム教のように神の存在を意識し、人智を超えた霊性を身近に感じる人たちも多く存在する。過激派のように狂信に陥る人々もいる。一方で、宗教や人智を超越した霊性は、資本主義の限界が露呈しつつある現代社会に生きる人々を引きつける何かがあるようだ。
中核を成しているのは、科学ではなく哲学
バイオダイナミック農法には、インチキとの批判もある。イギリスの新聞ガーディアンは2017年、バイオダイナミック農法が欧米で増えていると伝えている。その中では、農法は非科学的で検証不能との意見も紹介。
アメリカ・ワシントン州立大学の専門家は「その活動(バイオダイナミック農法)の中核を成しているのは科学ではなく、哲学であることから物議を醸すものだ」と指摘する。バイオダイナミックで採用されている手法の中には、植物や土壌の質を改善することを示す証拠は存在せず、「効果は信念の問題であり、事実に基づくものではない」と懐疑的な見解を紹介している。
バイオダイナミックのワインの味はどうなのだろうか。ワインでは、風土や土地の個性を意味するテロワールが味を決める重要な要素になる。パレス・バルタのバイオダイナミック農法によるワインは、華やかな柑橘系の香りがしたり、スパイシーな香りがしたりするなどテロワールがしっかりと感じられ、体にすんなりと入っていく飲み心地のよさが印象的だった。
同行したワインの専門家は「土地やブドウの品種の個性が強く出ており、とてもやさしい味わい」と太鼓判を押す。そのワインは、世界の一流ホテルや一流レストランのワインリストに登場している。ガーディアン紙は、バイオダイナミック農法の有効性は、その農法を採用しているワイナリーが、すばらしいワインを生産していることで証明されているのではないかと評している。
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