「整理・整頓」にこだわる感覚が"要注意"なワケ

ベストセラー作家の散らかり放題な仕事場

僕の経験では、滅多に使わないものの収納が最も難しい。場合によっては、数年に一度しか用いないものがある。しかし、必要になったときには、それがなければ作業ができない、ほかのもので代用できない、というものである。万が一見つからなければ、買い直すしかない。安いものならば、それでもいいが、もちろんそうでないものも多い。

ものが多くなってくると、何がどこに仕舞われているのかを忘れてしまうだろう。人間の記憶能力など知れている。かといって、逐一それらの記録やリストを書き換えていたら面倒だ。そのリストが見つからなくなるかもしれない。

将来、自分が探すときのことを想像し、見つけやすいようにしておく工夫が必要になる。箱に入れれば積み重ねられるから、狭い場所により多く収納できるが、中が見えなくなる。そこで、透明の箱にしたり、中身が何かというラベルをつけるなど、それぞれの場所で工夫されていることと思う。

区分して収納する場合、どんなものがどれくらいの量があるのか把握している必要があるから、ある程度、その作業場で行われる工程や、使われる材料を知っている人でなければできない。

まったくの初心者には無理な話だ。ベテランになるほど、整理の仕方も洗練されてくるだろう。ただ、同じ作業をずっと繰り返している場合はそうかもしれないが、作業自体が、時代とともに推移する。個人の趣味でやっていることも、だんだん嗜好が変わってくるだろう。同じ整理法では、続けられない場合も出てくるはずだ。

ストックとアイデア

整理ではないが、僕は「ストック」をたくさんしている。つまり「備蓄」である。

工作室でストックしているものは、先ほど例に挙げたネジが筆頭だろう。ただし、最近では、ネットで注文すれば翌日にも指定のネジが届くようになった。こうなると、本当にストックしておく必要があるのだろうか、と考えざるをえない。

僕の工作というのは、設計図をしっかりと描いて、それに従って作るという方式ではない。手近にあるものを眺めているうちに、いろいろ思いついて、そこにあるものを活用して作ってしまう。だから、工作室は、ものすごい量のガラクタであふれ返っている。そんなガラクタを眺めること自体が楽しい。なにかに使えないか、どんなものに生かせるか、という発想こそが、工作の起点となっているのだ。

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