「整理・整頓」にこだわる感覚が"要注意"なワケ

ベストセラー作家の散らかり放題な仕事場

設計図を描いて、しっかりと計画したうえで製作をするタイプの人は、必要なものだけ買いにいけばいい。自宅に大量の材料をストックする必要がない。このタイプであれば、断捨離も可能だろう。このような製作が、一般の工場では常識であり、通常の工業製品はすべてこういったシステムで作られているはずだ。

ただ、まったく新しいものを生み出そうというときには、試行錯誤が必要であり、設計図を最初にすべて描くことはできない。簡単な設計をし、試作品を作ってみて、また設計図を直し、という繰り返しが必要になる。「開発」と呼ばれる段階もこれだと思われる。

整理して面白いか?

ものがきちんと整理された環境は、確かに気持ちのいいもので、そういった場所での作業も、当然ながら気持ちよく進むだろう。僕も、工作室をたまに片づけるが、片づくとスペースが広くなって、のびのびと作業ができる。精神衛生上は良好だ。

それでも、本当にこれが必要だろうか、と自問すると、曖昧な返事しかできない。気持ちがいいだけかもしれないからだ。これまで、面白い経験ができたとき、すばらしい思いつきがあったとき、納得のいくものができたときには、だいたいいつも散らかっていたように思うのだ。整理・整頓されたきれいな環境が必ずしも結果に結びつかないように、どうしても思えてしまう。

このことで、1つ思い出がある。僕がまだ34歳のとき、8歳になった息子に初めてプラモデルの作り方を教えた。彼が欲しいといったプラモデルだし、自分で作れるかどうかもわからない。最初なので、基本的なことを指導しようと考えた。

まず、袋からパーツを出して、1つパーツを切り離したら、残りはまた袋へ戻す。1つずつ説明書のとおりに進める。散らかさないこと。そうしないと、パーツがなくなることがある。そんな基本的なことだった。

そのとき、息子は神妙な顔つきで聞いていたし、その後、自分で作り始めた。僕は彼のそばを離れ、自分のデスクに戻った。別に、普通の親子の風景である。

だが、ここで僕は考えた。自分はものすごくせっかちだったから、パーツを全部最初に切り離したりした。いちいち袋に戻したりしなかった。部品が足りなくなって、探し回ったことも何度かある。散らかった場所でやっていたから、ゴミと紛れてしまうことも多かった。そんな失敗ばかりしていたのだ。

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