「今後も株高が続く可能性は低い」と考える理由 一喜一憂しながら上昇する株式市場に危うさ
10月初旬からアメリカ株市場は反発に転じ、中旬にS&P500株価指数は3000ポイントの大台を超え、同28日には7月後半につけた史上最高値を更新した(3039ポイント、終値ベース)。10月17日のコラム「なぜ安倍政権は財政政策を発動しないのか」では、米中通商協議の材料に株式市場が一喜一憂する状況は変わると述べた。実際には筆者の予想に反して、11月に予定されている米中首脳による通商会談への期待が株高を後押しする状況が続いている。
英の「合意なきEU離脱」リスク後退は株価に追い風
アメリカを中心に世界的な株価反発の後押しをしたもう一つの材料は、Brexit(イギリスのEU離脱)に関して、イギリスとEU(欧州連合)双方の政治情勢が「合意を伴う離脱」に向かう方向ではっきりしたことである。ボリス・ジョンソン首相がEUとの交渉に当面成功したことなどで、「時間切れの合意なき離脱」に至る可能性はかなり低下し、イギリス総選挙が12月12日に実施されることが決まった。
筆者は、9月5日のコラム「『EU離脱』が英国にむしろ好ましいと考える理由」でも述べたが、合意の有無にかかわらず、イギリスがEUから早期に離脱にすることは同国経済にとって望ましいと考えている。このため、短期的な相場の変動要因になっている「合意なき」かどうかに、筆者は余り関心はない。イギリスの政治情勢はなお不透明だが、いずれの経路を辿っても、EUからイギリスが離脱しつつあることは、株式などリスク資産の上昇要因と言えるだろう。
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