「今後も株高が続く可能性は低い」と考える理由

一喜一憂しながら上昇する株式市場に危うさ

しかし米中通商協議とBrexitを材料に、今後株高が続く可能性は低いとみている。11月半ばに予定されている米中首脳を交えた通商協議では、なんらかの合意が実現するかもしれない。だが米中の覇権争いが続く中で、トランプ政権が掲げている大方の対中輸入品への関税引き上げが、仮に12月時点で先送りされても、2020年には実現するとみられる。

関税引き上げによる米経済への直接的な影響は大きくないが、世界貿易の停滞によって製造業の生産調整が長引き、これが労働市場や非製造業に波及してアメリカ経済の成長率を下振れさせる要因になるだろう。今後の経済情勢を踏まえると、米中通商協議とBrexitの思惑に一喜一憂しながら上昇してきた株式市場に危うさを感じる。

アメリカのGDP成長率は1%前後に減速へ

アメリカ経済は7~9月まで、2018年末からの長期金利低下の追い風もあり、個人消費、住宅投資などは底堅く推移した。だが米中貿易紛争への不確実性などを背景に、米企業による設備投資は4~6月からすでに減少に転じたとみられる。製造業の生産調整が、設備投資減速や企業利益マージンの低下をもたらしながら、2020年にはアメリカのGDP成長率は1%前後に減速すると予想する。

また、10月の世界的な株高をもたらした一因に、調整していた各地域で製造業生産の一部に底入れの動きがみられたことがある。例えば、日本の電子部品デバイスの在庫率(在庫と出荷のバランス)、米情報調査機関マークイット社による製造業PMIの米中の受注判断、などが改善している。これらの指標が示す生産底入れが広がり2020年にかけて世界の製造業生産が反転すれば、足元のようなアメリカ株の高値更新が続いてもおかしくない。

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