創業67年「岡山デニム」の生き残りをかけた決断 ジョンブルが投資ファンド傘下に入った事情
60歳にもならない北川は、経営者としてはまだまだ働き盛りといえる年齢だが、旧知のコンサルティング会社社長のアドバイスも受け、第三者に経営を委ねることを決断した。
ジョンブル再成長に向けて名乗りを上げたのが、国内の中堅中小企業向けの成長・再生支援を手がける投資ファンド、キーストーン・パートナースだった。同社は「プライベート・デット」という手法を得意とする投資ファンドで、今年5月には500億円規模の4号ファンドを運用を始めた。
【2019年10月31日8時49分注記】初出時のキーストーン社の社名を訂正いたします。
8月、2人の男たちがやってきた
プライベート・デットとは日本ではあまりなじみがない投資手法だが、投資先企業のキャッシュフローに着目して資金を貸し付け、その金利収益を主な収益源としてファンドの投資家に還元する。
キーストーン代表の堤智章は「今回の投資テーマは企業の再生成長支援と事業承継。アパレル業界の変化のスピードは速く、創業社長の福田さんから引き継いだ北川社長は『私では業界の変化に対応できない。元気なうちに次の経営者に会社の経営を任せたほうがいい』と決断した。非常に賢明な決断だった」と話す。
どんなに鋭敏な経営者でも、「引き際」を誤って会社を駄目にしてしまうケースは枚挙にいとまがない。ジョンブルの場合、投資ファンドなどの手を借りて「うまく引いた」一例といえるだろう。
キーストーン傘下入りに伴い、CEO、COOとして2人の男がジョンブルの経営を任されることになった。3代目社長に就任する47歳の塚田裕介と、55歳の大類尚(おおるい たかし)。8月中旬のことだった。
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