私立大学も例外ではない。文部科学省は今年、私立大学間の学部の譲渡をしやすくするため関連法令を改正し、全国の学校法人などに通知した。従来は学部を一度廃止して譲渡先の大学が改めて新設する必要があったが、より少ない手続きでそれが可能となった形だ。すでに本制度を活用する形で関西国際大学と神戸山手大学が2020年4月に「関西国際大学」として統合する方針を表明している。
なぜ、このように大学の経営統合が活溌になっているのか。それはよく言われていることではあるが、「少子化」の影響が大きい。
18歳人口は1992年にピークを迎えており、2018年以降は減少が加速する。すでに国内の3割以上の大学が定員割れを起こしている状況は、「2018年問題」とも呼ばれている。
少なくなった学生を獲得するために、多くの大学が存続をかけた改革の必要性に直面している。大学は公益性が高い組織である一方で、経営体ということもまた紛れもない事実だ。少子化が進む中、相当数の大学が経営難に陥ることは火を見るよりも明らかである。
そこで、ほかの大学との統合などの策を講じることによって、経営規模拡大や効率化が実現すれば、大学を存続させることが可能になる。
地方にとって大学は重要
もう1つは、地方への貢献である。実は、地方創生において大学が果たす役割は大きい。
地域創生とは、地域の持続性を高めることを目的に各地域の活力を維持し、健全な経済活動を自立的に回すための一連の施策の総称である。つまり人と産業・経済をその地に定着させ、維持、拡大させていく必要がある。
それを担うのが大学だ。大学の存在はその地域の人口集積・雇用・産業発展と大きな関係がある。そのため地域における大学の役割が今以上に高まれば、地域に活気が生まれ、地方創生の基盤が整ってくるものと考えられる。
地方創生における大学の役割は次の3点が挙げられる。
大学が存在する街では、その地の18~22歳人口が一定数確保され、かつ学生が数年で循環することになるため、一定数の18~22歳人口が保たれる。
実際、多くの教育機関が設置される京都市や日本屈指の教育研究都市であるつくば市では、少子高齢化が叫ばれる現代にあっても、全人口に占める20代人口の割合が全国平均をはるかに上回っている。
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