犬猫をたくさん飼った末に起きた「惨状」の数々 多頭飼育が崩壊した現場で何が起きているか
「多頭飼育崩壊の部屋の清掃依頼は平均すると月に1件くらいですね。ただ、重なる月は5件を超えることもあります。依頼数は、徐々に増えていると実感しています。
例えば代表的な例として、猫2~30匹、ウサギ数十羽を団地で飼っていた部屋の清掃がありました」
この現場には著者(村田らむ)も同行した。
エレベーターのない4階建て公営団地の4階が現場だった。
もちろんペットの飼育は禁止されている。すでに住人は引っ越しをすませ、ペットも運び出された後だと聞いていた。
汚物にまみれた部屋
室内に入るとまず、排泄物の臭いが強く鼻をついた。とてもきついアンモニア臭だった。
猫は放し飼いにされていたらしく、壁やふすまはビリビリに破られていた。
床にはおびただしい数のゴミ袋が放置されている。中に入っているのは猫やウサギの糞などが多い。家財道具も残っていたが、どれも汚物で汚れていた。
壁に吊るされたハエ取り紙には、びっちりと黒い大きいハエがついている。部屋の片隅には、殺虫剤の空き缶が山のように積まれていた。いくらハエ取り紙を吊るそうが殺虫剤をまこうが、元を絶たねばハエの数は減らないだろう。住人が退去した後も、ハエはたくさん残っていた。
その現場ではエレベーターがなかったためゴミを持って1階まで降りなければならなかった。糞は水分を含むために非常に重たい。長年かけてたまった糞の片付けは、かなりの重労働になる。
そして、なにより驚き、心が痛んだのは、部屋に堆積したゴミに、依頼者の子どもとみられる写真や、子ども用のおもちゃなどが混ざっていることだった。
「このすさまじい汚部屋の中で子どもを育てていたんだ……」
と思うと、胸がギュッと苦しくなった。
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