アメリカ下着業界の女王「ヴィクシー」の凋落 いつの間にか時代遅れ感がハンパない
11月には、当時の最高マーケティング責任者エドワード・ラゼクが「ファッションショーは夢だから」太めのモデルやトランスセクシャルのモデルを出演させる気はないと述べたことで、ヴィクトリアズ・シークレットは激しい批判を浴びた。ラゼクは後に謝罪し、8月に突然、辞任した。社歴30年以上のラゼクはウェクスナーの腹心であり、「エンジェル」人気の立役者でもあった。
同じ日、ヴィクトリアズ・シークレットはトランスジェンダーであることを公表している女性モデルをカタログに初めて起用したことでメディアの見出しを飾った。
舵を取っているのは男ばかり
いろいろ問題を抱えてはいるが、ヴィクトリアズ・シークレットは衣料品小売りチェーン最大手であることは間違いない。昨年のアメリカとカナダでの売り上げは74億ドルで(約7930億円)、GAPの世界全体での売り上げを上回った。だが派手に広告を打ってきたことが営業利益を圧迫しているし、店舗の売り上げは減少、閉店も加速している。
ヴィクトリアズ・シークレットの市場シェアは規模の小さなライバルたちに「少しずつ削り取られている」と、バーンスタイン・リサーチの小売りアナリスト、ジェイミー・メリマンは言う。市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルによれば、アメリカの女性下着市場におけるヴィクトリアズ・シークレットのシェアは、2016年の34%から昨年は25%へと下落した。
ヴィクトリアズ・シークレットは今年、CEOにジョン・メハス(トリーバーチ前社長)を起用した。元重役の一部からは、このポストに男性を選んだことに驚きの声が上がった。前任者のジャン・シンガーはスパンクスの元重役で、2016年にシャレン・ジェスター・ターニーの退任を受けてCEOに就任した。ターニーは10年間にわたってCEOを務め、一部からはウェクスナーの後継候補と目されていた。
今回の人事は、ラゼクの失言からエプスタイン問題まで、昨年以降のメディアの報道で浮かび上がったヴィクトリアズ・シークレットの問題点に改めて光を当てることになった。このブランドの舵取りをしているのは男ばかりなのではないかということだ。
「男性が動かしているブランドだという事実を、消費者は以前よりもずっとよくわかっているし、はっきりと意見を言うようになっている」とキングは言う。
(執筆:Sapna Maheshwar記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2019 New York Times News Service
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