アメリカ下着業界の女王「ヴィクシー」の凋落 いつの間にか時代遅れ感がハンパない

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ウェクスナーは(かつてLブランズ傘下にあった )ザ・リミテッドやアバクロンビー&フィッチといったブランドとともにアメリカのショッピングモールの風景を形作ってきたと言える人物だ。

エプスタインが14歳の少女らの買春あっせんなどに関与したとして7月に逮捕・起訴されて以降は、エプスタインと距離を置こうとしてきた(そうしたエプスタインの行為については知らなかったとしている)。だがエプスタインが女性に言うことを聞かせるためにヴィクトリアズ・シークレットとのつながりを利用したことが明らかになり、2人の関係は看過できないものとなった。

自分と家族から「大金を横領した男」

今年に入りヴィクトリアズ・シークレットは「もの言う投資家」や元エンジェル(ヴィクトリアズ・シークレットのモデルを指す言葉)から女性の描き方に関して批判を受け、対応を余儀なくされていた。最近の問題は、Lブランズにおける創業者兼会長のウェクスナー(S&P500企業の中で最も在任期間の長いCEOでもある)の存在の大きさを浮き彫りにする結果にもなった。

ウェクスナーは引退の意向も示していなければ、後継者の指名もしていない。Lブランズが7月、ウェクスナーとエプスタインの関係について取締役会の指示により「徹底的な調査を行う」ために法律事務所を雇ったことを明らかにした後もだ。Lブランズの広報担当者は調査および承継プランについてはノーコメントだった。

「これらの問題はずっと以前からあった。今回のごたごたが起きるまでほとんど注目されなかったというだけだ」と語るのは、ペンシルベニア大学経営大学院のピーター・フェイダー教授(マーケティング学)だ。「エプスタインの件は単に、企業インフラとガバナンスのまずさに明るい光を当てたにすぎない」。

ウェクスナーに言わせれば、エプスタインは自分と家族から「大金を横領した男」だ。それが発覚したのは2007年に2人がたもとを分かったときだという。エプスタインは8月に死去。当局によれば自殺とみられる。

ニューヨーク・タイムズは7月、エプスタインがヴィクトリアズ・シークレットのモデルの採用担当者であるかのように振る舞っていたことや、そうした不適切な行為に関してウェクスナーは警告を受けていたことをLブランズの重役2人が1990年代半ばには知っていたと伝えた。あるモデルは同じころ、ヴィクトリアズ・シークレットのスカウトのふりをしたエプスタインからホテルの1室に誘い込まれ、襲われたと証言している。

重役たちは秘密保持協定を会社と結んでいるため、匿名で取材に応じた。少なくともこの時点では、2人はエプスタインとウェクスナーの関係についての調査への協力を求められていなかった。

次ページ「時代遅れ」になりつつあるイメージ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事