関西電力、「第三者調査委員会」に限界あり 善管注意義務違反や贈収賄疑惑にメス入るか
関西電力の経営トップや幹部社員が、原子力発電所の立地する地方自治体の元助役から多額の金品を受け取っていた問題で、会社法違反(贈収賄)の疑いが持ち上がっている。
関電が10月2日付で公表した内部調査報告書によれば、福井県高浜町の建設会社「吉田開発」と親密で、同社の顧問を務めていたとされる森山栄治元助役に対して、関電から吉田開発に発注する工事の概算額などの情報を事前に提供していた事実が明らかになった。
内部調査報告書は贈収賄の認識を否定した
その件数は、記録が確認されたものだけでも2014年9月から2017年12月末までで91件に達しており、この間に吉田開発に発注した工事121件(直接発注および元請け経由での間接発注分の合計)の7割以上を占めていた。
調査報告書によれば、森山氏への工事情報の提供は「手厚い対応」だったと認めている。その一方、「その後の詳細設計によって契約金額が大きく変わることもあった」などとして、「森山氏が情報をどのように活用しても特に問題のないものと考えていた」と記述している。
調査報告書はさらに、工事情報の提供と金品授受の関係について、「(関電の)対応者としては、森山氏が情報提供日に限らず面談時にはかなりの頻度で金品を持ってきたことから、情報提供の見返りとして金品を持ってきているという認識は持っていなかった」などと記されている。
金品を吉田開発が用意していると思われるケースについても、「対応者としては、吉田開発は情報提供の見返りとして金品を渡すというようなことは考えておらず」などと、贈収賄性の認識を否定している。
しかし、会社法に詳しい早稲田大学の上村達男名誉教授は「概算額など工事に関する情報を事前に提供する行為自体、談合の事実が疑われ、高めの発注価格が設定されていた可能性が想起される。取締役の善管注意義務違反が問われ、贈収賄の疑いもある」と指摘する。
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