大学生で起業なんて「絶対やめたほうがいい」 親と社会の期待を「サードドア」で超える
佐俣:若い人にとって、今やアレックスはサードドアの象徴だよね。いろいろな人がアプローチしてくると思うけど、この人のインサイドマンになってもいいと思えるようなアプローチの仕方はある?
バナヤン:先日、東京スタートアップゲートウェイというところで講演をしたとき、熱心にアプローチしてくれた若者が多くいたんだ。週末の移動先の大阪まで一緒に行きたいと言ってくれた人や、「ボディガードくらいならできます。いらないなら、ステキなレストランにお連れします」って声をかけてくれた方も。日本人はすごいエネルギーに満ちているなって思った。
上杉:自ら弟子を持つつもりはない?
バナヤン:今は時間的な制約もあるから、難しいと思う。この2カ月くらい、本を売るための世界ツアーに出ているんだけど、韓国で、14歳の中学生の男の子が「スピルバーグみたいな映画監督になりたい」と僕にアプローチしてきたんだ。
彼は母親に頼んで、学校をサボって2時間かけて車で講演会場に来てくれた。彼は英語が話せないからグーグル翻訳でやり取りして、僕は10冊の本を教えて、読むように言った。そしたら先週、彼からメールが来て、「すべて読了したので次の課題を教えてください」と。メールの件名は「あなたの弟子より」だった。
教える側も、自分の時間とか資源を投資したいと思っているわけだから、教わる側が、教える側の期待を超えてくるっていうのは、大事なことだと思う。僕も、メンターのエリオットから何かを言われたときはそうしていたし。
佐俣:そういう子もいるんだね。僕も、人との出会いは大事だと思う。VCは人の可能性を応援する仕事だし。ただ時間は限られている。だから「これは」と思う人には全力投入するし、この人には貢献できなさそうだと思えばもう会わない。
バナヤン:同感だね。年齢とか、住んでいる場所とか関係なく、同じようなエネルギーを持っている人を見たら、もうそれで相手もわかるし、自分もわかる。サードドア・スピリッツとでも言えばいいかな。僕は退屈なことはしたくない。
上杉:アレックスのサードドア精神、この本を読んですごく感じました。僕自身も、このスピリッツをこれからも肝に銘じてやっていかなきゃって思ってます。
佐俣:これから何か挑戦していこうとする若者には、この本は必読書だね。僕自身もまだまだサードドアを開けていくし、逆に若い人たちにサードドアを提供したり、開け方を教えてあげたりもしたい。頑張らなくちゃ(笑)。
またオリンピックで集まろう!
バナヤン:僕たち、いいチームになりそう! ところで、2人は来年のオリンピックに向けて何か計画している? 世界中の耳目が集まる機会だよね。
佐俣:オリンピック。あまり特別なことは考えてなかったな。
バナヤン:面白そうなことができそうだと思わない? ナイキとかコカ・コーラとか大企業も注目してるだろうし、世界のスタートアップの人たちも、VCの皆さんに会いたいだろうし。日本にはこんなにすばらしいスタートアップの人たちがいるって世界中に発信できるチャンスでもある。
佐俣:面白そうだね。日本でいちばん面白いスタートアップを集めるのは、僕らの得意分野だし。
バナヤン:そのときはぜひ日本に呼んでほしい。一緒に何かできたらいいね。2人はVCだって聞いてたけど、話し上手で本当に楽しませてもらった。今日はすごく楽しい時間をありがとう!
(構成/笹幸恵)
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