日本で急増する「帯状疱疹」の知られざる脅威 大人がワクチン接種をするべき理由
季節では、以前は冬には水ぼうそうが増え、夏には少なく、帯状疱疹はその逆(夏に多い)といわれていましたが、最近はその傾向はなくなり、連休の後や年末などの、多忙を来しやすい時期に多くみられます。
痛みが長期間残存する「帯状疱疹後神経痛」が10~50%の人にみられ、問題になります。
年齢が高い方のほうが、神経痛を発症するリスクが高くなります。時に神経痛は非常に強く、通常の痛み止めが効かず、特殊な薬の内服が必要になったり、薬では痛みが完全には取りきれない場合があります。
また、顔面に発症した場合には、顔面神経麻痺、聴覚障害、目の角膜炎などの合併症を発症する場合もあります。皮膚に瘢痕(傷あと)が残る場合もあります。ごくまれに髄膜炎や脳炎を起こすこともあります。
痛みから外出をしなくなってしまったり、うつになったり、高齢者では認知症につながっていく危険性もあります。
なぜ帯状疱疹が増えたのか
昨今、帯状疱疹が増えている背景には、水痘ワクチンが定期接種になったことがあげられます。
普段、水ぼうそうを発症した子どもなどと接する機会があると、そのときに体内の免疫が再度活性化されて(ブースター効果)、高い抗体価を維持できます。
ところが日本では2014年10月から水痘ワクチンが定期接種となり、水ぼうそうにかかる子どもが激減しました。それにより、ブースター効果が得られなくなり、体内の水痘ウイルスに対する免疫が知らないうちに低下し、帯状疱疹を発症しやすくなっていると考えられているのです。
これは日本だけのことではなく、すでにアメリカで同じようなことが起きています。アメリカでは1995年に子どもに対して水痘ワクチンが導入され、その5年後から成人の帯状疱疹が急増しました。そこで、2006年から60歳以上を対象に帯状疱疹ワクチンを導入しています(2011年から対象を50歳に引き下げ)。
日本はこの10~20年ほど後ろを追随している形で、2016年3月以降、過去に水ぼうそうにかかったことのある50歳以上の人を対象に、ワクチン接種が承認されました。
ワクチンの安全性と有効性に関しては国内外で確認されています。
現在のところ、帯状疱疹を予防する医学的な手段はワクチンのみです。
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