日本で急増する「帯状疱疹」の知られざる脅威 大人がワクチン接種をするべき理由

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現在、帯状疱疹ワクチンには大きく分けて2種類あります。現時点(2019年10月時点)で日本で使用できるものは以下の①のみですが、②も2020年には、使用可能となる見込みです。

① 乾燥弱毒生水痘ワクチン

水ぼうそうウイルスに対するワクチンと同じものです。非常に安全で、有効性も確かめられています。ただし生ワクチンなので、著しく免疫が低下した人(HIV感染の方、抗がん剤、免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン内服薬使用中の方など)には使用できないことがあります。妊娠中の人も接種できません。1回接種で5年から10年ほど効果が持続するといわれます。帯状疱疹の発症はほぼ半減し、神経痛の発症は3分の1ほどに抑えられます(データは取り方によりばらつきがあります)。

② サブユニットワクチン(シングリックス®)

日本で開発されたもので、生ワクチンではないため、免疫が低下した人にも使用できます。またその効果は非常に高いといわれます。ただし、2カ月ほどの間隔をあけて2回接種することが基本となります。また、注射部位の発赤などの副反応が、①の生ワクチンよりもやや多くみられます。心疾患、血液凝固異常などの疾患がある人は使用できません。

50歳以上の方はとくに重症化しやすいため、ワクチン接種を検討しましょう。

費用は自費になります(5000円~1万円程度)。一部の自治体では50歳以上の方に助成金が出されています。

それでもかかってしまったら…

ワクチンで予防できればそれがいいですが、もし帯状疱疹にかかってしまった場合はどうしたらいいいでしょうか。

治療は、抗ウイルス薬になります。ただし、発症初期(2~5日以内)に開始しないと効果は下がります。抗ウイルス薬は、ウイルスを殺すものではなく、増殖をおさえるものだからです。帯状疱疹であることに気づかず受診が遅れ、神経痛が残るケースが多くみられます。

神経痛が残ってしまった場合は、痛み止めが効かないことが多く、プレガバリンという神経の興奮をおさえる薬がよく使われますが、副作用としてめまい、転倒、体重増加、また、薬をやめるときに頭痛、不安感、抑うつ症状などの離脱症状(禁断症状のようなもの)を発症することがあります(そのため数週間かけてゆっくり減らしていくことが求められます)。

治療費は、抗ウイルス剤は3割負担で6000円ほどかかり、さらにプレガバリンなども使用すると、自己負担だけで総額数万円に及ぶ場合もあります。

こうしたことを防ぐためにも、やはり帯状疱疹にならないことが一番です。ワクチンは、帯状疱疹を100%防いでくれるものではありませんが、リスクは半減し、もし発症したとしても軽症ですむ可能性が高くなります。

帯状疱疹のリスクを理解し、ワクチンを取り扱う病院を探して、早めに相談してみることをおすすめします。

吉木 伸子 皮膚科・美容皮膚科医院長

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よしき のぶこ / Nobuko Yoshiki

皮膚科・美容皮膚科「よしき皮膚科クリニック銀座」院長。皮膚科医。1993年横浜市立大学医学部卒業、 同年慶応義塾大学病院 皮膚科学教室に入局。1994年浦和市立病院(現さいたま市立病院)皮膚科勤務。1996年埼玉県大宮市(現さいたま市大宮区)のレーザークリニック勤務。その間、アメリカ・オハイオ州クリーブランドクリニック形成外科、日本漢方研究財団附属渋谷診療所にて、美容医療および東洋医学の研修を行う。日本美容学校皮膚科非常勤講師を兼任。
1998年「よしき皮膚科クリニック銀座」を開業、現在にいたる。TV出演や雑誌の連載など多数。主な著書に『美容皮膚科医が教えるあこがれ「美人」のつくりかた』(日本文芸社)や『いちばん正しいスキンケアの教科書』(西東社)などがある。
 

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