震災復興事業が被災者を脅かす 土地区画整理、河川堤防建設で家を追われる人々

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土地区画整理事業予定地(気仙沼市幸町)

東日本大震災の被災地で、復興を目的にした土地区画整理事業や河川堤防の建設工事が、被災した住民の生活を脅かす存在になっている。復興事業の必要性そのものは多くの人に認識されているものの、自宅の立ち退きを迫られている住民から、悲鳴の声が上がっている。

宮城県気仙沼市幸町の土地区画整理事業予定地で暮らす住む金内光枝さん(63)も、復興事業に翻弄されている一人だ。

「市役所から修理して住んで構わないと言われたので、津波で全壊した自宅を1000万円もかけて直した。それが今になって、取り壊してほかへ移ってくださいという。無責任きわまりない話です」

取材に応じた金内さんは憤懣やる方ない様子だ。

1歳3カ月の時にかかったはしかが原因で、両目に視力障害が残った金内さんは、今も文字や色がはっきり見えないという。震災後、やむをえず9カ月も居続けた避難所では、貼り紙の文字が読み取れず、人一倍苦労した。それだけに、「どこに何があるかがわかる住み慣れたわが家で、安心して暮らし続けたい」と語る。

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