原発事故「避難勧奨地点」指定の理不尽 あいまいな賠償の基準、住民同士は口もきかぬ状態に
福島県伊達市霊山町の小国地区は、阿武隈山地の山あいに開けた農村地帯だ。住民は稲作や野菜作り、特産品「あんぽ柿」の栽培にたずさわり、長きにわたって平穏な暮らしが営まれてきた。
その山村に、原発事故による大量の放射性物質が降り注いだ。あんぽ柿からは基準値を上回る放射性セシウムが検出され、コメも作付制限を余儀なくされた。
そして、原発事故から2年半近くが過ぎようとする現在も、住民は平穏な生活を取り戻すことができないでいる。
こけから124万ベクレル、想像絶するホットスポット
季節外れの大雪に見舞われた今年4月22日。下小国の佐竹寛子さん(仮名、41)宅で市民グループによる放射能測定が行われた(写真)。参加メンバーはサーベイメーターで空中の放射線量を測るとともに、高い数字が見られた付近の土壌やこけを採取し、自らが運営する測定所にサンプルを持ち帰った。そして高精度のゲルマニウム半導体測定器で検査したところ、驚くべき値が出た。
軒下に付着していたこけから、1キログラム当たり124万ベクレルという、きわめて高レベルの放射性セシウムが検出されたのである。物置きの雨どい下から採取した土壌サンプルも同17万ベクレルを超えていた。測定にかかわった「福島老朽原発を考える会」(フクロウの会)の青木一政さん自身が絶句するほどの高線量だった。
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